DXはDame(ダメ)X(バツ)のコンサル指導か?

財田和典

財田和典

テーマ:業務効率化 手法

こんにちは。「専門家を使う専門家」のコラムの翻訳者、えりかです。

今回のコラムでは、“DX=デジタル変革”についてのお話です。
このコラムの大きなポイントは、“「DX格差社会」に敗者とならないための外部活用の見極め”です。




さて、専門家を使う専門家の話が始まります。
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最近は、もう見飽きたきらいがありますが、どのメディアを見ても「DX,DX,DX」と言う文字が並んでいます。
さて、DXとはいったい何なのでしょうか。
DXは「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、そのまま訳すと「デジタル変革」という意味になります。
経済産業省はDXの定義として「ビジネス環境の変化に対応し、デジタル技術を活用してサービスやビジネスモデルを変革するとともに、業務、組織、企業文化、風土を変革し、競争の優位性を確立すること」としています
では、企業にとってDXはなぜ必要で、なぜ取り組まねばならないのでしょうか。
よく言われる「2025年の壁」について、経済産業省のレポート
~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~既存 IT システムの崖(2025 年の崖)
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_03.pdf
によると、
「あらゆる産業において、新たなデジタル技術を活用して新しいビジネス・モデルを創出し、
柔軟に改変できる状態を実現することが求められている。しかし、何を如何になすべきかの
見極めに苦労するとともに、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムも足か
せとなっている。
複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025 年までに
予想される IT 人材の引退やサポート終了等によるリスクの高まり等に伴う経済損失は、
2025 年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)にのぼる可能性がある。
この場合、ユーザ企業は、爆発的に増加するデータを活用しきれずに DX を実現できず、
デジタル競争の敗者となる恐れがある。」
と書かれています。
つまり、世の中の一部の先進企業はDX化を実現し、その他の企業はDX化が進まず、いわゆる「DX格差社会」が起こり、企業間取引において、DXに乗り遅れた企業は、DX実現企業と取引ができない状態になる恐れがあります。

この「DX格差社会」に敗者とならないために、各企業はスピードを上げて取り組むために外部のコンサルタントを活用しています。
これは地方のある中堅製造業の社長から実際にお聞きした言葉ですが、
「DXに乗り遅れないためにIT企業に相談するのが良いか、経営コンサルタント会社に相談するのが良いか、この相談に乗ってほしい。」
と言って知り合いの会社に話をしたところ、某経営コンサルタント会社を紹介されました。
早速、その経営コンサルタント会社のコンサルタントと話をしたところ、下記のやり取りになりお断りしたとのことでした。

コンサル:「そもそもなぜDXに取り組むのですか?」
社長:「取引先も含めてDX化を進めている。当社も乗り遅れてはいけないので。」
コンサル:「DXで何がしたいのか。どうありたいのかを明確にしないと失敗しますよ。」
社長:「それは私の経営の話であり、今回、ご相談しているのはDXの支援である。」
コンサル:「最初にDXありきではなく、そもそもDX化の前に何をしなければならないかを業務を見直してやるべきです。」
社長:「そんなに言われるのなら、先生のところでDXはどのようにやって頂けるのか、ご説明頂きたい。」
コンサル:「まずは、現状の業務の見直しです。業務を洗い出し可視化して、それに対してムダ・ムリ・重複が無いかを調べて、不要な業務を止めさせます。残った業務のやり方をITを使って効率化できないかを検討します。」
社長:「先生のおっしゃっているのは、現行業務の業務改善ですね。業務の効率化ですね。それはやる気はないです。そもそもDXはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、Transformation、変革を目指すもので当社もそう考えています。業務改善、しかも旧来のIE,VEなどの改善手法を押し付けないでいただきたい。」
コンサル:「社長の言われるのは間違っています。物事は原点に戻って考えることが大切であり、そのために現行の業務を否定することから始めます。」
社長:「うまいことおっしゃいますね。創業の原点に戻れば、当社とコンサルタントの先生とのスタートラインが同じになり、そちらの思うつぼですね。申し訳ないですが、当社は創業時から100年近い歴史があり、それなりに前進してきて今の当社があると自負しています。いまさら、原点に戻り、はい、スタートしましょうというようなのんきなことには付き合えません。
ところでデータ分析から変革のアイディアを出してもらえるのですか。例えば、シンガポールがICTの先進国になった話にあるように、役所の手続きを業務改善するよりも、マイナンバーカードを早くから導入して役所に行って手続きすること自体を廃止し、変革を遂げたようなことですが。」

以上のやりとりが実際に行われたとお聞きしました。
この会社からは技神に相談があり、シンガポールでICTの事業経験者でしかも製造メーカーの工程表づくりも行える技神をご紹介したところ、ご面談後、即、ご活用頂けました。
社長からは、「DXがDame(ダメ)X(バツ)になるところだったが、技神の専門家のおかげでDX化の対象をどの領域に置くかを決めてもらい、そこをDX化するとどのように業務プロセスが変革するか、顧客企業とのやり取りがどう変わるのかが明確になり、当社の身の丈に合ったシステム化投資ができるようになった。」と喜んでいただきました。

Transformation、変革 は中小企業ほど規模が小さいために変わりやすいということもあります。
DXを無理やり業務改善に誘導しますと、業務で無価値なものをDame(ダメ)と定義し、それをX(バツ)にして止めてしまえと言うアプローチになります。
この社長のお話のポイントは、DX化をコンサルタントに頼む場合、「DX化ができますか。」と言う質問ではダメで、「DX化をやったことがありますか。」と言う質問をされたことにより、お願いするかしないかを見抜けたことです。
コラムで過去に何回も記していますが、「できる。」と「やったことがある。」は大きな違いがあります。特にDX化については。
DXの専門家は技神にいます!

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 このアドレスへのメール master.no1blender@gmail.com までお願いします。

追伸:
言葉の定義ですが、
*ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術):インターネットに代表される通信技術を活用し、「人ともの」「人と人」「ものともの」の間の情報や知識の共有をはかること、および関連する産業やサービスなどの総称。

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財田和典
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財田和典(経営コンサルタント)

株式会社リンクウィル

企業の課題とそれを解決できる専門家をご紹介。経験に基づいたノウハウで、双方の特性を見出し〝ブレンド″することにより、両者が満足する「企業ニーズと人材のマスターブレンダー」として日々研鑽に務めています。

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