~コンサルタントの選び方~固有技術と管理技術のどちらのコンサルタントを選べばいいの?

財田和典

財田和典

テーマ:固有技術と管理技術 コンサルタント

こんにちは。「専門家を使う専門家」のコラムの翻訳者、えりかです。



今回のコラムでは、 “固有技術と管理技術のどちらのコンサルタントを選べばいいか”についてのお話です。
このコラムのポイントは、 “その会社の置かれている状況によって管理技術と固有技術のコンサルタントのどちらを選ぶかは違う”と言うことです。
そこで “管理技術は改善のために、固有技術は改革のために適用”すればよいということが重要になってきます。
ここでは、固有技術と管理技術の違いを述べて、それぞれの例として説明しています。
さて、専門家を使う専門家の話が始まります。
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今回は、あなたの企業がコンサルティング指導を依頼する場合、コンサルタントに何の技術の提供を望むか、それを間違えないようにするためのポイントについてお話します。



通常、コンサルティング指導を頼む場合は、
1.社内でやっていてもこれ以上の解決が難しい場合や進捗が遅いので促進しなければならない場合。
2.社内だけでは知見、経験、ノウハウが無いのでできない場合。
以上のどちらかの課題がある場合です。

1の「社内でやろうとしていること」に対しての支援方法は管理技術の提供です。
成果を、より早く、より高く、より確実に上げるための経営コンサルタントの役割です。
2の「社内でできないこと」に対しての支援方法は固有技術の提供です。この役割は技術者です。


詳しく申し上げますと、管理技術は、経営資源の有効活用のための技術であり、皆さんがご存じの代表的な手法としては、
IE(インダストリアル・エンジニアリング)・・・ヒトの作業動作のムダを省く手法
VE(バリュー・エンジニアリング)・・・モノの価値に対して過剰のムダがないかを追求する手法
TQC(トータル・クオリティ・コントロール)・・・品質不良でおこるムダを防ぐ方法
などが古典的伝統的手法です。
これらの発展版が、TPS(トヨタ・プロダクション・システム)。リーン生産方式、シックスシグマなどであり、個々の良いところを取りだして組み合わせて自社の管理技術として集大成されています。現状のムダを省く改善技術と言えます。

一方、固有技術は、その製品を生み出すためやそのサービスを提供するために必要な技術です。例えば、製品の設計、製造現場での加工・・・・。
もっと具体的に言いますと
樹脂金型を設計する技術、CO2を削減する技術、EV化する技術、リチウムイオン電池のバッテリーパックを設計する技術 などです。

以上のことはコンサルタントの書いた書籍やネット上に大抵は載っています。
彼らは自分の得意な方の技術(管理技術または固有技術)へ導くために書いていますので、その点は気をつけてください。

さらにわかりやすく言いますと、
ここに濡れたタオルがあります。
乾いたタオルをさらに絞り上げるのが管理技術。
工場長「おい、タオルを絞っているが、もっともっと絞れるのではないか。」
現場管理者「いや、もう限界です。」
工場長「そうか、それならコンサルタントに頼もうか。」
コンサルタント「このように絞るという作業を徹底的に分析してムダを発見し改善案を考えます。」
以上がA会社での管理技術活用のやり取りです。
もう一方のB会社では、
工場長「タオルを絞ることばかり考えずにそれ以外で乾かす方法は無いのか。」
現場管理者「我々では今の方法しかできません。これ以外の方法は考え付きません。」
外部講師の技術者「他の業界では大きな風洞を作り風を送って乾燥させています。」
工場長「これは目から鱗だ。すぐに適用しなさい。」
これが固有技術です。
つまり、タオルを乾かすという目的は同じでも、その会社の置かれた状況次第では、支援するのに必要な技術が違ってくるという事です。

管理技術を適用する前提としては、今、存在しているものがあり、それはまだまだ改善の余地がある、つまりタオルの例では、まだまだ絞れるはずだという見込みがある、ムダがあると言うことです。A社がこの状況下にあります。
固有技術は、誰がやってもその通りにやれば人が変わっても繰り返し再現性の保証されたやり方です。それがないとモノやサービスができないというものであり、会社の創業時からある技術であり、他社他人、つまり外部の経営コンサルタントではわからない技術です。
現在のこのB会社では、タオルはここをこのようにして絞るなど、具体的にこのようにすると言う限界まで作り上げた技術です。乾いたタオルの絞り方の方法やその回数などであり、これ以上はレベルを上げることができない状態です。
ここを打破したい場合は、絞る以外に違った方法を取り入れるなどしなければなりません。まさに技術者の出番です。

固有技術に関して、今あるものでは不足であり、新しい方法を求めている場合には、それを取り入れた場合、企業には改善を超えた改革をもたらします。
つまり、現状を改善したい場合は管理技術の専門家=経営コンサルタントの活用。
現状を改革したい場合は、自社にない固有技術を持っている専門家の活用です。

※「改善」とはいろいろ問題はあるが種々の理由から現状のやり方を肯定することを前提として改良すること(つまり現状のムダ取り)です。
「改革」とは、いろいろなしがらみを持つ現状のやり方を否定して、新しいやり方を見つけて進みこむことです。

さて、結論です。
技術的な面は徹底して追及が済んでいて、技術的には限界にきている。しかし今の技術のやり方を変えることはできないことを前提としてムダを発見したい、まだそのムダはあると言う認識なら、管理技術の専門家=経営コンサルタントを選びましょう。(改善レベルの要請)
今のやり方に対してムダを見つけるよりも、技術的にまだまだ追及が足りないので不足点を補いたい、できれば新しい技術を取り入れたいというなら、固有技術の専門家=技術者に頼みましょう。(改革レベルの要請)

よくコンサルタントは、「私は改善屋ではなく経営改革をします。」と言いますが、改革をするには、その会社にはない新しい考え方、手法を持っているのか、他社・他業界では常識であるが、その会社では目から鱗の技術が提供できるのかをチェックするときの物差しとして面談時にコンサルタントに質問してください。

私の33年間の経営コンサルティング業界での経験から申し上げますと、
「経営改革」は、コンサルタントの口から出る言葉の響きとしては魅力的ですが、それは管理技術の適用だけではできません。固有技術の移植だけでもできません。社員全員に意識改革を追い込むような強烈な経営者の登場がないと実現するのは難しいですね。また、経営改革は揺り戻しもあります。時計の振り子が左右に揺れて時が進むように、改革側に揺れた後は必ず反対側に揺り戻しが起こります。
改革をスムーズに行うには、新しい固有技術の導入から入られることをお勧めします。

本件の首題の「固有技術」と「管理技術」を間違えてコンサルタントを頼まれて大変な目に遭われた例は、以前のコラム 
「固有技術」と「管理技術」を間違えてコンサルタントを選んだ例
https://mbp-japan.com/hyogo/takarada/column/5089740/
をご覧ください。

固有技術は、「技神」https://wazagami.com/
で対応致します。

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財田和典
専門家

財田和典(経営コンサルタント)

株式会社リンクウィル

企業の課題とそれを解決できる専門家をご紹介。経験に基づいたノウハウで、双方の特性を見出し〝ブレンド″することにより、両者が満足する「企業ニーズと人材のマスターブレンダー」として日々研鑽に務めています。

財田和典プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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