終活はいつすべきか?「まだ元気だから大丈夫」は間違っている!
相続のお手伝いをしていると、
「誰が不動産を取得したほうが良いか?」
というご質問を受けることがあります。
第三者が口を挟むことではないので、「答えようがない」というのが正直な気持ちです。
ですが、これまで相続に関するご相談をお受けしていると、いくつかのポイントがあるように思われます。
いくつか参考となる考え方をご紹介したいと思います。
皆さまが直面したそれぞれの事例に応じて、ご参考にしてください。
1.居住する相続人が取得する
相続開始後も、居住する相続人が取得する方法です。
この方法であれば、相続により建物所有者となった方からの賃料請求は起こりえないため、後日の紛争予防にもつながります。
デメリットとしては、一般的に、遺産の中で不動産の財産的価値の占める割合は大きくなります。
他の遺産(現金、預貯金など)で、居住しない相続人への分配ができないとなると、不動産の取得を巡って争いが生じる可能性があります。
2.とにかく公平に
相続人間で、等しく(または、法定相続分とおりに)分配したいというご要望は一定数あります。
この場合、共有名義で相続登記をすることになります。
公平に分配となりますので、相続時における相続人間で争いは生じにくいかもしれません。
ただし、共有名義の不動産は、将来において問題になることが多々あります。
もしこの方法をご希望の場合には、なるべく早く共有状態を解消することをお勧めしています。
なお、当事務所では、ご事情や強いご要望がない限り、共有名義で不動産を取得する方法は、お勧めはしておりません。
3.不動産という物ではなく、「お金」で分配したい(換価分割)
相続人の誰も住む予定がない不動産を、お金に換えて分配したい、と考える場合です。
この場合、遺産分割協議において、不動産を売却した代金を相続人で分配する内容を定めることができます。
このような方法を「換価分割」と言います。
4.不動産という物ではなく、「お金」で分配したい(代償分割)
上記3に似た方法として、代償分割という方法があります。
ある相続人が不動産を取得する代わりに、他の相続人に対して、お金(代償金)を支払う方法です。
不動産を取得する相続人に、代償金を支払うだけの資金力が必要となります。
5.認知症対策
認知症は、誰にでも発症する可能性があります。
しかし、高齢になるにつれて、その発症率はぐんぐん上がっていきます。
認知症を発症し、判断能力が低下すると、いざという時に不動産の処分ができなくなる可能性があります。
そのリスクを回避するため、例えば、高齢の母が自宅不動産を承継するより、近くで面倒を見てくれる子が承継するという方法です。
まとめ
ある事例では正しいことが、他の事例でも必ずしも正しいとは限りません。
また、その逆もあり得ます。
遺産分割協議自体に工夫をしたり、遺産分割協議後に遺言や任意後見などの制度を活用するなど、その家族ごとに適した方法を考えることも可能です。
上記の他に、二次相続・三次相続を想定して、遺産分割協議をする方法もあります。
(難易度は高いですが。。。)
不動産の場合、相続の仕方によっては、その後に尾を引くこともあります。
一時的に仕方なく選択した場合もあり得るでしょう。
それぞれの方法のメリット・デメリットや解決方法を把握していただいた上で、将来を見据えた円滑な遺産承継ができるように、信頼できる専門家に相談されることをお勧めいたします。