LED照明で変わったこと

浅井知彦

浅井知彦

テーマ:家を建てるときの新常識

近年、住宅の照明にもLEDが急速に普及してきました。

住宅用LED照明は製品の値段も下がり、商品の種類も増え、今ではすっかり住宅用照明の主力になっています。

御存知のように、LED照明には「長寿命」「省電力」などの優れた省エネ性能があります。

さらに「発熱温度が低い」「小型で高輝度」「色調調整が容易」などの特長があり、これらによって住宅のインテリアについては大きな恩恵を受けることになりました。


今回は照明のLED化によって変わったことを挙げていきます。


LED照明のある部屋
※写真はPanasonicのLED照明カタログから。



まず、見た目に一番変わったことといえば、「天井のフラット化」でしょうか。


過去には、照明器具を天井に埋め込む、いわゆるダウンライト照明は洗面やトイレなど「天井が低く、狭い部屋」で使われてきました。

しかし、この照明方式が、リビングやダイニングのような大空間で使われることは殆ど無かったと思います。

以前のダウンライトには「高い天井に照明を埋め込むと電球が交換できない」「照明器具の大きさの分、天井が低くなる」などのデメリットがありましたし、照明自体の発熱量の問題もありました。

リビングなどの主照明で使うには、かなり勇気の要るものだったのです。


現在、ダウンライトの殆どは、「小型」「長寿命」「殆ど発熱しない」LEDが主流になっています。

機器の値段も大幅に下がりました。

その結果、小型のLEDダウンライトを幾つも天井に埋め込むことができ、フラットですっきりとした天井、インテリアが得られるようになりました。

LED照明のあるリビング


また、家の中の照明器具の演出性についても、自由度が上がりました。

LED以前、照明器具の主光源は蛍光灯を使うのが普通でした。

しかし、蛍光灯の発する光は、色の暖かみに欠ける、演出性が低いという欠点があります。

そのため、照明にこだわった住宅では、暖色系の光を出す白熱球の照明器具を使うこともありました。

家によっては、たとえ電気代が高くても、球切れしてでも、オレンジ色の白熱球やクリプトン球しか使わないというところもありました。


現在のLEDは色温度も自由に選べますし、色を変えられる照明もあります。

LED照明器具の普及で、光の色を気軽に自由に選べるようになったのです。

LED照明の色温度
※色調が変えられるLED照明(Panasonic)



個人的に「変わったな」と思うこととして、「照明器具をインテリアの一部として捉える」必要性が無くなったということがあります。

今まで、照明器具はどうしても人の視線に入ってくるものでした。

照明器具はインテリアの一部であり、照明器具のデザインに気を配らないと、インテリア全体が台無しになる可能性がありました。


LED化が進んだ現在、家の照明は「部屋を明るくする」という機能としては有りながら、「器具としての存在感」は消されつつあります。

「すっきりしたインテリア」が好みであれば、殆ど照明器具を意識することなく、部屋を明るくすることが出来ます。

LED間接照明
※照明器具を見せない「建築化照明」(Panasonic)


もちろん、照明器具をインテリアとして選びたい人は、今まで通り、好みの照明器具を選んで設置することも出来ます。

壁に付ける照明、釣り下げる照明器具についても、今まで通り購入、設置することが出来ます。

玄関ホールや廊下、階段などに、あえて明暗を付ける「光の演出」を行うことも出来ます。


総合的に考えると、LED照明によってインテリアの自由度が上がったと言えるのかもしれません。

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浅井知彦
専門家

浅井知彦(一級建築士、コンクリート診断士、マンション管理士)

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

素材メーカーで研究してきた技術者としての経験を生かし、鉄筋コンクリート造の住宅を提案。快適な住空間に仕上げるため、デザインありきではなく機能性重視の家づくりを行っています。

浅井知彦プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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