【最新版】絶対ローコストで建てたい
建築は「経験」が重視される仕事です。
「豊富な現場経験」と、そこから得られる「家作りの常識」は、新たな家を作るときに役立つ貴重な知識・情報源になります。
反面、技術の進歩によって、その「常識」が変わることもあります。
震災被害や最新の調査結果、技術の進歩により、いままでの常識が常識でなくなってしまうこともあります。
そして、安全、安心を守るために「新たな常識」が生まれることもあります。
今回から数回にわたって、家を建てるときの「新常識」を書いていきます。
家の新築、リフォーム、リノベーションを考えている方で、参考になる部分があればと思います。
今回採り上げるのは、家の「地盤調査」「地盤改良」についてです。
日本の大都市の多くは河口付近の低地に広がっており、それらの土地には良好な地盤とは言い難いところも多く含まれています。
たとえば、大阪市内もその殆どは軟弱地盤ですし、関東平野も多くは軟弱地盤になっています。
数十年前まで、日本の住宅建築では、新築時の地盤の調査は殆ど行われてきませんでした。
昔の大工さんの中には「木造住宅くらいなら、地盤を調べなくても大丈夫」という人もいるかもしれません。
しかし、何度かの大震災とその被害調査によって「軟弱な基礎地盤が震災被害を拡大する」ことが判ってきました。
いくら家の構造を丈夫にしても、地盤や基礎が弱ければ、地震に強い家にはならないのです。
地震に強い家にするためには、まず足下からしっかりとする必要がある・・・これが現在の常識となりました。
現在の新築工事では、木造住宅でも建築前の地盤調査を行うことが基本となっています。
確認申請や住宅保証制度の上でも、地盤調査書の提出がほぼ必須になりました。
地盤調査には、簡易的な調査方法であるスウェーデン式サウンディングか、あるいは地層サンプルの取得も可能な標準貫入試験などがあります。
一般的に建築コストが低く軽い構造である木造住宅の場合はスウェーデン式サウンディングが多く、鉄筋コンクリート、鉄骨などの構造の場合は標準貫入試験が多く採用されています。
どちらにしても、地盤調査の専門家による現地調査は必須だと考えて下さい。
また、その結果として、地盤改良工事も増えています。
昔はビルなどが中心で、自重の軽い戸建て住宅ではあまり行われてこなかった地盤改良工事ですが、最近では普通に住宅でも行われるようになってきました。
これには「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の要請も大きく影響していると思います。
新築住宅の長期安全性の確保のために、「地盤・基礎の安全」が求められているのです。
これらから家を建てる方については、考えておいて欲しいこととして、以下の点があります。
◇土地選びから考えるのでしたら、その土地の地盤がどんなものか、購入前にある程度知っておくことが大切です。
不動産会社、建築士などを通じて、なるべく情報を集めるようにして下さい。
◇家を建てる場合、直接的な建築費の他にも、地盤調査や地盤改良の費用が必要になることがあります。
このあたりの費用についても予算に入れておいて下さい。
家は建てた後、何十年も住むものです。
家を建てるときの地盤の安全性確保には、充分気を配っておくべきだと思います。



