変形地に家を建てる方法

浅井知彦

浅井知彦

テーマ:神戸、芦屋、西宮で家を建てる

ハウスメーカのモデルハウスが建つ住宅展示場の土地は、広く、平坦で、四角い整形地になっています。

しかし、実際に家を建てる土地がすべてこういう土地である訳ではありません。

真四角の整形地の方が珍しいといっても良いでしょう。

今回は、変形地に家を建てる方法について書いていきます。


私は、家を建てるときにはその土地に最適なものを設計すべきだと考えています。

土地に合わせた最適な設計をすること。その結果として、たとえば変形地に家を建てる場合、壁が直角でない場合もあります。

変形地の家
変形地に家を建てる方法
※分かり難いかもしれませんが、この部屋の角は直角ではありません。

敷地が充分に広く、家の周囲に充分な余裕をもって建てることができるのなら、変形地でもあまり気にすることはありません。

広い土地の真ん中に、ハウスメーカーのモデルハウスで見た家もそのまま建てられるでしょう。

しかし神戸から芦屋、西宮あたりは山と海に挟まれ、広くて平坦な住宅地を確保することは難しくなっています。

【参考】高低差のある住宅地、傾斜地に家を建てる方法(傾斜地を購入するとき注意すること)

こういう場所では、土地に合わせた家を設計することが大事になってきます。

土地の形状に合わせた間取り、部屋の形を考え、家を作ること。

こういうときにこそ、建築士が設計するメリットが生かされると思っています。

窓の位置、高さも、その土地の位置、方位、周辺状況に合わせて設計します。

ロフト窓
※ロフトの明かり取りに、専用の小さな窓を付けました。開ければ、換気にも有効です。



ここまでは、変形地に家を建てることについて書いてきました。

ここからは土地の購入について、書いていきます。


◆変形地はお買い得か?

「相場より値段の安い住宅地として、変形地を買うのはお買い得か?」について。

・・・これは、個別の物件をみてみないと、なんとも言えませんね。

周辺相場よりも安い変形地は、当然ながら建築が困難なものが多いと思います。

ただ、それが「設計の工夫次第で何とかなる」ものなのか、「どうしても建築費が嵩む」ものなのかは、図面をみて、現地を確認しないと一概には言えません。

購入を検討しているのでしたら、実際に家を建てるとしたら幾らくらい掛かるのか、希望の家は建てられるのかを充分検討した上で決めて下さい。

【参考】建築士がおすすめする土地探し


◆旗竿敷地(敷地延長)の購入は、損か得か?

相場より安い値段で売買されることの多い旗竿敷地ですが、接道間口によっても条件が変わってきます。


・接道部分が2m未満であれば、原則、建築許可が下りません。
 (建築基準法 第43条により、建築敷地は道路に2m以上接していなければならない)

 既存住宅があるのならリフォームになりますが、新築は、難しいでしょう。


・接道部分が2mであれば、その部分は通路になるでしょう。

 自転車置き場や倉庫としてなら、活用出来るかもしれません。

 この部分に家を建てるのは難しいと思います。
 (駐車場としての利用も難しいでしょう)


・接道部分が2~2.5mくらいの幅の場合、小型の自動車を入れることは出来ますが、車を止めると人が出入り出来なくなる可能性があります。


・2.5m以上の幅があれば、駐車場として使えるかもしれません。

 ただし、車を置いてしまうと、人の出入りは少し窮屈になります。


旗竿敷地のメリットは、通路部分も計算上は住宅敷地になるので、建蔽率で有利なことです。

通路部分を除けば、奥の敷地部分一杯に家を建てられる可能性があります。
 (ただし、旗竿敷地の場合、廻りはすべて隣地となるので、陽当たりなどの住環境は厳しくなります)


もう一つの利点は、玄関までの通路アプローチに演出が加えられることです。

ここの小道を上手く演出できれば、落ち着きのある、素敵な家が建てられるかもしれません。


旗竿敷地の場合も、購入を検討するときには、どんな家が建てられるのか、充分に検討した上でその価値を判断して下さい。

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浅井知彦
専門家

浅井知彦(一級建築士、コンクリート診断士、マンション管理士)

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

素材メーカーで研究してきた技術者としての経験を生かし、鉄筋コンクリート造の住宅を提案。快適な住空間に仕上げるため、デザインありきではなく機能性重視の家づくりを行っています。

浅井知彦プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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