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コラム

「事例から学ぶ 意匠制度活用ガイド」(4)について

2023年3月19日

コラムカテゴリ:ビジネス

こんにちは。弁理士の福島です。

特許庁で公開されている「事例から学ぶ 意匠制度活用ガイド」(4)について、お話したいと思います。

https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/info/document/2907_jirei_katsuyou/jirei_katsuyou.pdf

四つ目の事例は、株式会社ホンダアクセスさんです。

この会社さんは、「本田技研工業株式会社が手掛ける自動車(以下、Honda車)の純正用品メーカー」ですが、「ゲーション&オーディオ、フロアマット、ドアバイザーをはじめ、軽自動車からスポーツモデルまで、Honda車の快適性、安全性を高める自動車用品の開発、供給、販売を行っている会社さんです。

この記事では、『「同じ車種であっても、他の人と一味違う自動車に乗りたい」というこだわりの強いユーザーの要望に応えるため、見た目に高級感・特別感のあるデザイン、そして自動車の最大の魅力である走行機能を高めるデザインの開発に力を注いでいます。』とありました。

製品開発の段階で、機能面が充実してくると、お客さん側の目線に合ったデザイン面が重視されてきます。そういったことを感じることが出来る良い例と思います。

この記事では、「ホンダアクセスでは、2010年頃から国内の模倣業者に対して、自社の意匠権を侵害する模倣品の販売停止を求める警告を行っています。ほとんどの模倣業者については、ネット上での模倣品の販売を中止させることに成功しましたが、度重なる警告を無視し続け、模倣品の販売を続ける業者もありました。ホンダアクセスは、この非常に悪質なケースについては、意匠法違反として刑事告訴に踏み切りました。」とあります。

実務的には、売れ筋商品には模倣品は付き物ですので、そのたびに警告を行って相手の侵害行為を止めさせる必要があります。
一般的には、民事訴訟の差止請求や損害賠償請求になります。実際は、民事訴訟に行くか行かなかの話が多い中、今回では、刑事告訴まで行っているところを見ると、よっぽど悪質だったんでしょうね。

この記事では、「違法な模倣品に対抗するため、ホンダアクセスはタイで意匠出願を行っていますが、日本に比べて審査期間が長く、これまでは意匠出願から登録まで3~6年かかることもまれではありませんでした。タイで販売しているエアロパーツのライフサイクルは約4年間なので、製品販売前に意匠出願をしても、登録される頃には販売がすでに終了している場合もあります。」とあります。

海外での知的財産権取得は、国内と比較すると、極めて遅いという感覚はあります。
審査期間が長い分、販売時期とずれてしまう、というデメリットがあります。
民事的には、過去の損害賠償について請求出来るものの、現在の侵害行為を取り締まれないというのは、海外ビジネスでのハードルの高さを感じます。

この記事では、「このような問題を解決するため、ホンダアクセスはタイ知的財産局(DIP)に、模倣品の情報を提供するとともに、出願意匠が日本ではすでに意匠登録されていることを伝え、審査の早期化を依頼したところ、審査の参考資料とするとの回答を得て、タイでの審査期間を1年に短縮することに成功しました。」とあります。

海外での知的財産権取得は、海外現地代理人がメインとなりますので、実務的には、海外現地代理人を適切に動かせるかが重要になります。
海外現地代理人とのコミュニケーションは、出来るだけ円滑に行っていきたいものです。

----アシスタントの質問----

模倣品によって、消費者に誤解を与え、混乱を招いたり、品質までも疑われたりすることが考えられますし、損害も大きいのではないかと思います。だからこそ、刑事告訴まで踏み切り、模倣品排除につながったことは大きな意味のあることだと思います。

①消費者が模倣品を誤って購入してしまった場合、どのように行動すべきでしょうか。
②模倣品を購入しないようにするために、消費者が意識したほうがよいことはどんなことでしょうか。
③ECショップなどで模倣品を見つけた場合、どのように対応すればよいのでしょうか。

----私の回答----

①模倣品を販売する行為は犯罪なので、最寄りの警察に相談するのが良いと思います。
模倣品を購入した消費者が捕まることは無いですが、警察に言い難いところはあるでしょうね。

②販売先の情報や属性をきちんと確認した方が良いと思います。
模倣品の販売業者は、後のアフターサービスが無く、売り切りが多いものです。
そのため、模倣品の購入者には、後で困ることは多いのではないでしょうか。
消費者としては、「安かろう悪かろう」というよりも、
「本当に必要なものをお金を掛けて購入する」という意識の方が重要と思います。

③模倣品を見つけた場合は、警察や消費者庁へ情報提供する方法があります。
情報提供に何かしらのインセンティブがあれば、より良い社会になるでしょうね。

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