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コラム
日々の練習に勝る特効薬などありません
2020年1月17日 公開 / 2021年3月1日更新
スウィングの分析
方向性を良くしたいSさんの場合
Sさんは中肉中背で、30代後半の男性です。
お仕事柄、付き合いのゴルフも多く、少しでも早く上位争いに加われるよう努力されています。
Sさんは、最初飛ばなかったのでまず飛距離を出すレッスンをしました。
そして最近では、まずまずの距離が出るようになってきたので、今度は方向性を上げる取り組みを始めました。
まだまだ改善点は多いですが、少しずつ良くなってきたSさんのスウィングを解説していきましょう。
1の黄色い矢印で示した右腰は、踏ん張り切れず逃げています。
これはテイクバックでのえらーなんです。上げるときに10割の位置まで自分の力で上げてしまうと、慣性モーメントによって13~15くらいまで行ってしまいます。
それがこのヘッドの位置なわけですが、その行き過ぎを人間のパワーで抑え込むことは不可能です。
だから右腰を逃がして、体の安全を守っているのです。
2でも行き過ぎていますが、以前なら開いていたフェースが回転方向に対してスクウェアになっています(白い枠で囲った部分)
3では行き過ぎているせいで振り遅れが出ています(赤い線まで来ていないといけないウェイトが、青い線で止まっている)
4の黄色い矢印で示した左ひじをご覧ください。
以前はグニャっと曲がっていた左ひじが、今では伸びています。
だからオーバースウィングではあっても、5でフェースがスクウェアになるのです(白い枠で囲った部分)
ただ残念なことに、6ではクラブを下に下ろしています(前傾に対して下にならず、重力に対して下に振っている)
これで前傾に対して下、重力に対しては斜め前に下ろせるようになれば、飛距離も方向性ももっと上がります。
こうなってしまう原因は、やはり最初の振りかぶり過ぎです。
自力で上げるのを、もっと低いでやめて後は慣性モーメントに任してしまえば、この振りかぶり過ぎは修正できます。
ただ大事なことは『トップで止める』のではなく、『自力で上げるのを、低い位置でやめる』ことです。
止めようとしてしまうと、とんでもない球になりますから注意が必要です。
7ではしっかり左に引っ張ってこれています。ただややスウェイ気味なので、8のインパクトではフェースがかぶり、球が上がりません。
しかし7の白い枠で囲った部分のタメは相当良くなってきたと言えるでしょう。
以前ならここでリリースしてしまっていましたから(笑)
8から9にかけて、ウェイトシフトのズレはありますが、9では黄色い線で示したように、スウィングセンターの前にグリップもヘッドもあります。
この時のショットは、低空飛行ではありましたが真っ直ぐに十分な距離が出ていました。
10の白い枠で囲った部分を見て頂くと、左のつま先が開いているのが良く分かると思います。
これは1の写真で振りかぶり過ぎたことに対するミラー(対称運動)で、ここを逃がさないと体がもたないのです。
言い換えれば、最初のテイクバックで上がる位置を低いところでやめ、慣性モーメントに任せることができるようになれば、振りかぶり過ぎも左つま先の開きも収まります。
11では振り遅れ気味なので軸は右(青い線)に残り、ヘッドよりグリップが先行していますが、以前はシャフトが縦に上がる(横殴りのスウィング)だったことを思えば、うんと良くなりました。
12ではシャフトが赤い線の所に収まり、左のつま先が開か無くなれば飛距離も方向性も格段に上がるでしょう。
これも今まで言ってきた通り、テイクバックで軽く上げられるようになれば修正できます。
この日Sさんは、当面の目標だったダブルボギーペースで廻ることができました。
もちろんミスもたくさんしましたが、すべて前に進むためのミスで、後ろ向きのものは一つもありませんでした。
今年は100が切れると思います。
いかがでしたか?
自分ではやっている。あるいはできていると思っても、第三者の目から見るとなかなかそうなってはいないものなんですよ。
自分の感覚だけで修正したつもりになって、ドツボにはまるより、悩まれたら独り相撲を取らず、プロに相談してください。
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