寄せワンを取りたい方のためのアプローチ講座 第1回(ピッチエンドラン)
寄せワンを取りたい方のためのアプローチ講座
バンカー編② 深くてピンが近いガードバンカー
(以下私は私。生は生徒さん)
生『先生。パインレークって行かはったことあります?』
私『ええ、行ったことありますよ。すごく戦略性に富んだ、素晴らしいコースですね。』
生『はぁ、綺麗なコースですけど僕には難しすぎますわ。』
私『ティーは?』
生『バックからでした。いや、長いし池は多いしでボロボロになりました。』
私『そうですね。13番なんて468ヤードもあるのにパー4ですしね(笑)折り返しの14番は打ち上げですし。』
生『そうなんですよ。でも距離はまだ何とかなるじゃないですか。先生がいつも言っておられるように、無理をしないで3打目勝負の気構えがあったら。』
この生徒さん、かれこれ5年は通われており、最初のHDは22でしたが、今では11とシングル目前です。年齢も40代前半と若いので、遠からずシングル入りされるでしょう。
飛距離もかなり出ますし、最初はガンガン攻めるゴルフでしたが、レッスン2年目くらいから攻めるところと守るところをきっちり考えてコースを攻略できるよになり、そのあたりからHDもじりじりと良くなってきた人です。
私『まぁ池が多いですし、もしセルフで廻られたのならまさか?!というところで捕まりますからね。私はキャディーさん付きでやりましたけど、それでも3回池に入れましたよ。』
生『ええ、セルフだったんで「なんでこんなところ?!」ってところで池にはまりました。でも参ったのはそこじゃないんですよ。池が見えなくてはめてしまったのは仕方ないとあきらめがつきます。でもあのバンカーはキツイ!』
私『どこのバンカーですか?』
まぁパインレークのバンカーでやさしいのはほとんどないんですけどね(笑)
生『3番の・・・』
私『あぁ、右のバンカーですね?あの深ぁ~くて、ピンのてっぺんも見えないバンカー。』
生『そうです! やっぱり先生も入れたんですか?』
私『はい、入れてしまいました。キャディーさんに「右のバンカーだけは入れちゃダメですよ!」って言われたんですけど、言われると吸い込まれるように・・・ね(笑)』
生『やっぱり苦労されましたか?』
私『いえ、別に。ピン下30センチにつけましたよ。』
生徒さん、たぶん「苦労しましたよ」という返事を期待していたのでしょうが、私はそのバンカーを難しいとは思いませんでしたから。
生『えぇっ? 一発で出せたんですか?』
私『幸いピンがカラーから近かったので、上げさえすれば寄りましたから。』
生徒さん、目をひん剥いています。でも実際そうなんです。そこのバンカーは、高さが3メートルくらいあって、バンカーのグリーンに近いサイドに入ってしまうとピンのてっぺんすら見えません。しかし、上げることさえできれば脱出できないほどの難しさではないのです。
私『もしピンが左サイドにあったら、寄せるのは無理でしたね。でも右サイドいっぱいにあったので、上げさえすれば勝手に寄りますから。まぁ、右サイドにあったから狙っていって入れてしまったわけなんですけどね(苦笑)』
生『ぜひそのバンカーショットをご伝授くだされ!』
結構長い付き合いなので、阿吽の呼吸でおふざけを挟んできます(笑)
私『よかろう。伝授してつかわす。』
つい乗っちゃったじゃないですか(苦笑)
今回のように高い球の場合、残念ながらシミュレーターは使えません。
打ち出し角が50度を超えると、計測エラーを起こしてしまうのです。
素晴らしい計測器なんですが、これだけが弱点なんですよ(苦笑)
私はもう一つの打席のマットをずらして、間に深い人工芝のマットを挟みました。
私『いいですか?まず最初はいつも通りに構えます。』
練習なのでバンカーの設定ですが、ソールをつけています。
私『いつものバンカーショットなら、左体重で固定するんですが、今回のように極端に高いバンカーの場合、体重配分は左右イーブンです。』
もちろんエクスプロージョンを打つわけですから、ボールに直接コンタクトはしません。
しかし、手前の砂を爆発させるのは同じでも、ヘッドの入る角度が異なるのです。
浅いバンカーの場合、鋭角的に入れますが、深いバンカーの場合はややフラット目に入れないと上がってくれません。
私『いつも通りにに構えたら、普段より腰を落とします。そして手の位置を、グリップ1つ分下に下げます。そして、視線はピンの上くらいに合わせます。』
高い球を打つためには、重心を低く構えることがとても重要なのです。また視線を高く合わせることで、自然と高い球を打つ構えが決まってきます。
私『ここからが難しいですよ。イーブンの体重配分ですが、インサイドに引いて体重を右に移してはいけません。うんと早くコックを使って、鋭角にヘッドを上げます。』
左体重で固定すると、左肩を支点にして体重を左に残したまま上げやすいのですが、体重配分がイーブンだと、どうしても右に体重移動しやすくなってしまいます。そのために早いコックを使って、インサイドに引きにくくする必要があるのです。
私『さてこれでは左に振りぬくことは難しいですよね?左足がグリップの通り道をふさぐ形になっていますから。だからここで初めて左足をやや引いて、オープンに構えます。いいですか?まずオープンありきじゃないですよ。グリップ=手の通り道を作ってやるためにオープンにするんですからね。』
生徒さん、食い入るように見ています。
私『フェースは普段より開きます。開くことでロフトが付くということもありますが、開かないとバンスが効かなくて砂をはじいてくれないからです。もしフェースを閉じたらどうなりますか?』
生『砂に喰いこんでいってしまいます。』
私『そうですね。開くことによって、バンスを効かせ、砂をはじいて打つエクスプロージョンになります。』
そこまでのところを生徒さんにもやってもらいました。
私『打ってみてください。』
生徒さん、打ちましたがそれほど高くは上がりません。
私『なぜ上がらないか分かりますか?』
生『いえ、分かりません。』
私『それはヘッドがグリップを追い越しているからです。つまりフェースが返ってしまっているので、せっかくフェースを開いて付けたロフトが活きてこないからなんですよ。見ててください。』
再び私が打席に入って、さきほどの構えを再現しました。
私『テイクバックと同じ速度でダウンスウィングをするのが大事なんです。加速は要りません。そしてインパクトからフィニッシュまでは、グリップエンドとフェースが同じ速度と向きで動くようにしてやる必要があります。』
生徒さん、自分のクラブで確認をしています。
私『そうです。その動き方でいいですよ。フィニッシュでフェース面に砂が載っているような感じになります。』
私が打ってみせました。
私『フィニッシュの形を見てください。いつものアプローチやバンカーショットと違う点がありますが、わかりますか?』
生『えっと、右のかかとが浮いてないです。』
私『そうです!良く気づきましたね。このショットでは、右足を蹴らないんです。そうすることによって、少し右に体重を残しつつすくい打ちにならないで打てるんです。右足を蹴ったら、ヘッドが今より鋭角的に下りてくるので、球が上がりにくくなってしまいますからね。』
生徒さんにも打ってもらいました。しかし最初はトップが出ました。当たり前です(笑)
そんな1回や2回でできるほど簡単なショットではありませんから。
それでも15分~20分ほども練習したでしょうか?何とか高い球が打てるようになってきました。
生『やっぱり難しいですね。でもこれを覚えたら、ロブショットも打てるんじゃありませんか?』
私『いいところに気が付きましたね。その通りです。この高さの球を打つということは、ロブの打ち方なんです。違いは下をくぐらせる芝があるか、砂の下をくぐらせないといけないかなんです。』
生『やっぱり難しいです(苦笑) じゃ、ロブとバンカーでは何を変えればいいんですか?』
私『ボールの位置です。芝の下をくぐらせるロブより、バンカーの場合、ボール1個左に置いてください。』
生『なぜボールボール1個左なんですか?』
私『ロブの位置がヘッドの最下点だとすると、左に置けば最下点を過ぎて当たります。ということは、少しダフリ気味に入るということでしょ?』
生『なるほど!いつも先生が言われている「勝手にそこに振れる構え」ですね?』
私『そうです。いちいち「ここにヘッドを入れて・・・」とか考えていたら、難しいショットがより難しくなってしまいます。オートメーションで「そこに下りてくる」ようにするんですよ。もちろん、常にほぼ同じところが最下点になるようなスウィングの再現性がないとだめですけどね(笑)』
生『わかりました。このメモを持って練習場に行ってきます。また報告に来ますね。』
私『お疲れさまでした。』
まとめ
高い球を打つには、重心を下げる。
体重配分は左右イーブン。
コックをうんと早く使って、インサイドに引かないようにする。
重心を下げているため、グリップ=手の通り道がなくなる。
その道を作ってやるためにややオープンにする。まずオープンありきではない。
視線はピンよりも高いところに合わせる。
そうすることで、右肩が下がった形にならず、自然と上がる形になるようにする。
フェースは開き、テイクバックとダウンスウィングのスピードをそろえる。
インパクトからフォローまでは、ヘッドがグリップエンドを追い越さない。
右足は蹴らない。蹴らない=体重は左に動いていかない=フラットなスウィングプレーンでスウィングできる=高い球になる。
かなり難しいショットです。
言葉だけでは理解しにくいな?と思われましたら、是非オーシャンゴルフアカデミーにお越しになって、実際に体験してみてください。
きっと納得してお帰り頂けると思います。