広告宣伝とブランディングの違い
歯科医院は数が多くそのため経営が難しくなっていると言われていますが、そうした中どのように患者さんを集めるかを考えてみましょう。
ホームページはありますか?
歯科医院の数が多いことを表現するのに「コンビニより多い」という言い方があります。歯科医院の過当競争を表すには便利かもしれませんが、コンビニと歯科医院では違いがあります。
何が違うかと言えば、一般消費者がスマホやパソコンを使ってコンビニの場所を検索することはあっても、どんな品揃えになっているのか、感じがいい店舗かどうか、店長はどんな人かといったことを調べ、そのうえで店を訪れるということはあまり考えられません。
しかし、歯科医院の場合、インターネットを介して医院の場所、診療時間などを確認するのはもちろん、医院の雰囲気や医師の印象やプロフィールなどを確認するのはごく当然のことになっています。そのうえで感じのいい医院を選択することになります。
この点を考えれば、インターネットを介した集客(集患)は重要です。そして、その際の大きな要素となるのが医院のホームページです。
最近では開業に合わせ、制作会社にホームページ作成を依頼する場合が多いですが、まだホームページを持っていない医院もあるようです。
「良い治療をしていれば患者さんは自然に集まる」という考えを持つ歯科医師さんもいらっしゃるかもしれません。そして、実際に良い治療があれば口コミなどで足を運ぶ人はいるかと思います。
しかし、インターネットで多くの情報が得られ比較検討ができる今、「良い治療」があることを発信することは大切です。選択肢が多い中、患者さんに受診先として選んでもらうためにはホームページは有効です。まだホームページを持っていない場合、ぜひホームページの作成をおすすめします。
ホームページの作成にあたっての注意点
ただ、ホームページの作成にあたっては、いくつか注意が必要です。まず、自分の医院の特徴を検討し、何を前面におし出すかを決定することです。
たとえば義歯ということもあり、予防歯科ということもあり、あるいは親の代から地域で何十年も続いているということもあるでしょう。医院の良さを伝えようとすれば、さまざまな要素があると思いますが、その中から絞り込んだほうがアピール度が高いのです。
また、医院のホームページの文言等については「医療法及び医療広告ガイドライン」があり、たとえば書籍、雑誌などに掲載された「名医がいる歯科医院はココ!」といった記事をそのままホームページにのせることはできません。
「雑誌社等が評価した結果は、掲載されていない医療機関よりも優れた旨を示す比較優良広告になることから、原則、広告できない」ということになっているからです。ホームページの制作を依頼する際はこうした知識があり、歯科医院ホームページ作成経験の豊富な業者を選択しましょう。
ホームページの制作費は5万円程度から制作を請け負う会社もあり、また、プランによって20万~80万円という設定をしている会社もあります。気をつけたいのは「初期費用0円」という設定で、その代わりにたとえば「月額3万円で5年縛り」ということにしている会社もあることです。契約する前に、契約内容はよく確認する必要があります。
さまざまな集客方法
歯科医院は、地域の方に知っていただくことが大切です。その際、チラシの配布は効果があります。目的は地域における認知度の向上です。
たとえば、子供を対象にした「歯みがき講習会」などのイベントを企画し、そのチラシを配布し、
講習会を通して親近感や信頼を得ることができれば患者さんの増加につながります。
また、診察カードは患者さんの手元に残るものですから、診察時間、住所、電話番号だけではなく、ご自身の治療への想い、患者さんへのメッセージなどを記載するなど、より親しみやすい医院であることをアピールする工夫も大切です。
診療圏を絞った広告宣伝として、駅の看板、電柱広告、バス広告・バス車内放送なども効果を期待できます。
ところで、厚生労働省の調査によれば、医療機関の情報の入手先として最も多いのが「家族・知人・友人の口コミ」70.6%、次いで「医療機関が発信するインターネットの情報」21.1%、また、「医療機関・行政機関以外が発信するインターネット情報(SNS・電子掲示板・ブログの情報を含む)」12.0%となっています。口コミ70.6%、インターネット関連33.1%ということになります。
歯科医院の経営が厳しくなる中、歯科医院経営に特化したコンサルティング関連業者も増え、「良い治療をしていれば、患者さんは自然に集まるという考え方は古い」という点を強調する傾向にあります。もちろんそれには十分な理由があるわけですが、しかし「良い治療を」という医師の姿勢が感じられなければ、患者さんによる口コミが広がることもないでしょう。
やはり、基本となるのは「良い治療」であり、患者さんの多くがそうした情報を知りたいと願っているということになります。ご自分の医院の「良い治療」をより効果的に伝える広告宣伝を検討しましょう。