広告における効果測定・評価の方法
広告宣伝は、大企業から個人経営のお店まであらゆる業態・業種に不可欠なものです。今回は広告宣伝費について考えてみましょう。
業種別の広告宣伝費の構成比
日本でもっとも大きな広告代理店と言われる電通は、テレビCMはじめあらゆる広告宣伝の制作に関わるわけですが、広告宣伝に関するデータの収集・分析においても群を抜いています。その電通の調査による「2017年 日本の広告費」によれば、2017年の日本の広告費は6兆3907億円、前年比101.6%。
「日本の広告費」に示された業種別広告費の構成比を見てみましょう。構成比とは、売上に対する広告費の割合です。(ご紹介する「2017年 日本の広告費」のデータは、「マスコミ四媒体広告費。衛星メディア関連を除く」と但し書きがついています)。
構成比10%以上の業種を見ると、
「情報・通信10.9%」「食品10.4%」「化粧品・トイレタリー10.2%」となっています。売上げに対し10%以上の広告費をかけているということです。
次に「交通・レジャー7.6%」「飲料・嗜好品6.9%」「流通・小売業6.1%」と続き、構成比5%台を見ると「金融・保険5.6%」「薬品・医療用品5.5%」「自動車・関連品5.5%」、「外食・各種サービス 5.1%」。
以下、「不動産・住宅設備4.9%」「ファッション・アクセサリー 3.4%」「趣味・スポーツ用品3.0%」。
そして、「出版2.9%」「教育・医療サービス・宗教2.6%」「家庭用品2.5%」「家電・AV機器2.0%」となっています。
広告宣伝費と予算
ご紹介したデータを見て「なるほど、情報・通信や食品、化粧品の広告はよく見るな」とお感じになった方も多いでしょう。
広告費の総額も「情報・通信」「食品」「化粧品・トイレタリー」の3つが他から抜きん出ています。いずれも競争が激しい業種であり、また、食品は商品の数も多くそれをより多くの一般消費者に知ってもらう必要があることを考えれば、広告費にかけるお金が多くなるのも頷けます。
さて、あなたの会社、あなたのお店が広告宣伝に費用をかけようとする場合、何をどうすべきでしょう。まず大切なことは、広告宣伝の必要性をはっきりさせることです。広告宣伝費が、あなたの会社の商品・サービス、あなたのお店の商品・サービスの売上向上をはかるために必要不可欠なコストと考えるかどうかということです。
良い商品・良いサービスは黙っていてもいつか多くの人が知ってくれる、という考え方があります。そして実際、宣伝はしていないのに口コミで商品やサービスの良さが広がり、売上につながったというケースも少なくはありません。
しかし、良い商品・良いサービスがあっても、それを知ってもらわなければ売上げにつながらないのも事実です。そして、いつか知ってもらえることを待っていれば事が成るほどビジネスは甘くはありません。
まず、この点を明確にしましょう。そうすると「売上げが思わしくないから、一つ宣伝にお金をかけてみよう」という安易な発想に陥らずにすむことにもなります。
つまり、「商品・サービスの売上向上をはかるために必要不可欠なコスト」であるからこそ、広告宣伝手法の選択、広告宣伝をする場(媒体)の選択、そして、広告宣伝物のクオリティーにもより真剣になるということです。
広告費と費用対効果
では、広告宣伝にかける費用はどのように導き出せばいいのでしょう。もっともシンプルな考え方は「売上×一定の割合=広告宣伝費」という考え方です。
はじめにご紹介した業種別の構成比は一つの参考になるでしょう。ただ、このデータは業種別の平均値であり、売上高と広告費の割合は同じ業種でも一律ではありません。
たとえば、あるデータによればトヨタと日産自動車では、トヨタの広告費の比率が1.6%であるのに対し日産自動車は2.6%となっています。三菱自動車は4.3%。
任天堂とバンダイナムコでは、任天堂9.9%、バンダイナムコ6.3%となっています。同業種でも一律ではないわけですね。しかし、どの企業も同じく重視するのは広告宣伝の費用対効果という点です。
この点は、広告宣伝費を導き出すうえでも重要です。広告宣伝の効果を計測するのは難しいとされていますが、効果の測定にはデータだけではなく「実感」というものもあり、その点でも広告宣伝を行った後の売上・顧客の来店数など注意深く見る必要があります。
ビジネスの鉄則の一つに「PDCAのサイクル」があります。Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルのことです。
これは広告宣伝についても適用できる考え方です。広告のプランを練り、予算を計上し、広告宣伝物を作成し一般消費者に発信する、その後、その評価を行い、改善点があれば次回の広告に活かすということになります。