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56 何が正解か分かりませんが =退職金制度

清水正樹

清水正樹

テーマ:企業考察

退職金制度

ありません。
早々になくなりました。


2000年代早い時期に一社員による「発案」でこの慣習に見直しが入ります。
結果は、その時点の在籍期間に見合った金額を受け取って退職金制度が終了します。

次に経営陣は、少なくなる生涯賃金を日ごろの給料で上回るように努力すると宣言しました。
もっとも従業員の大半は、誰も定年までいないだろうし、そもそもそれまでこの会社は続くかなぁと笑い合いました。
幸いにもそんな心配は杞憂に終わって、いまも生き残れてとても嬉しいです。


私は勤続年数5年ほどだったので、3ヶ月定期分程度の退職金でした。

周りの人が、この改革をどう思ったか分かりません。
ただ少なくとも私はこのイベントをかなり前向きに受け取りました。
よくわからないけどなんだか新しいステージに入ったようなワクワク感を持ちました。
だからそれまで漫然と仕事をしていましたが、これを境に会社の仕組みや運営、考え方や決断、判断の重責に関心を持つようになりました。
関心ごとといえば、「勤続年数に応じてもらう退職金」は一次関数的に決まらないことを知り、あまりの少額にその計算方法も気になりました。

当時の様子

 ・会社自体が若く、定年対象が誰一人いなかった、
 ・成長スピードに人材がついてこなかった、
 ・新卒の離職率は高く、会社を支えるほど人と力量がなかった、
 ・開発、営業含めて企業運営は転職者の経験と能力に負うところが大きかった、
 ・創業者の考え方や決断の背景がとても伝わりやすい距離感だった。

私の考え

 ・いつ倒産するか分からないベンチャー企業の空手形より目先の手取りを増やしてくれる
  代替案の方が魅力的だった、
 ・もともと定年まで勤める気はなく、50歳になったら辞めようと決めて就職した、
 ・能力評価、成果主義は、前向きに仕事する強いモチベーションになった。


近年転職は身近なものなりましたが、当時はネガティブなイメージでした。
また終身雇用が当たり前で、退職すればガッポリ退職金を受け取れるのが当然でした。
そんな時代に臆することなく柔軟かつ論理的に考えた提案ができる、そして受け付ける社風、【結果を出せる】転職者を厚遇した会社にびっくり。
なによりこんな発案を経営者に採用させたプレゼンを知った時が一番の衝撃でした。

このブログでは「働き方のありよう」を「退職金(≒終身雇用)」の面から語ってみました。

外資系企業が増えました。また転職を重ねてステップアップする人は今後さらに増えます。
そして終身雇用という働き方は益々変質、形骸化していくでしょう。

若い人の価値観が昔と比べて大きく変わる中、人集めだけでなく人材を会社に繋ぎとめることも難しくなっています。
これにどう対処するか、頭が痛い難題です。

過去を踏襲する、手を加える、どちらが良い結果をもたらすのか、正解は分かりません。

今回大切に思うことは、
  ・こんなことをやっている企業があるという事実を知り、
  ・どうしてこんな提案をしたか、その背景を考え、
  ・手を加えるとどんか変化が生じるかを予測して、
  ・自分ならどう判断、決断するかを自問自答して自分なりの考えを持つことです。
 そして
  ・世の中は移ろいやすいので、このタイミングの決断がいつまでも絶対ではないことを
   肝に銘じておく必要があります。


これを読まれたみなさんも同じテーマでグループ内で議論されてみてはいかがでしょうか。
日頃から「考える習慣」を付け、それを言語化する力を磨くきっかけになることを切に望みます。

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清水正樹
専門家

清水正樹(調達・購買のコンサルティング)

株式会社ロアゾー・ブラウ

実務サポートで「結果出し」にこだわります。調達先の選定、調達業務の請負にもお応えします。特に原価削減では実績ある海外仕入れの紹介だけでなく輸入業務を代行します。

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