薬学部の将来
2025年5月30日に河合塾より最新の偏差値が発表されました。
この時期の偏差値は実際の入試結果を元に出されているものなので、ある意味では一番信頼性が高いとも言えます。
最近の薬学部の傾向としては、東高西低の傾向が強いのが見て取れます。
今回の西日本特に関西の一部の薬学部の人気(≒偏差値)の変動について考察したいと思います。
まず、全体としては私立薬学部の人気や難易度は下落傾向があり、特に今回は数字として如実に表れています。本年1月の偏差値との比較ですが、
近畿大学 医療薬学 55 → 52.5
福岡大学 50 → 47.5
神戸薬科 47.5 → 45
兵庫医科 40 → 37.5
多くの大学が1ランク(2.5)下げているか、現状キープになっています。
特に名門の誉れ高い神戸薬科の偏差値が45まで下落しているのは驚きに値します。
また、関西ではないですが九州の立地ながら全国的にも評価の高い福岡大学が偏差値50を切ったのも私立薬学部の人気の低迷を反映しています。
河合塾の偏差値は50%の確率で合格する受験生の偏差値を表したもので、合格者や入学者の平均偏差値でもなければ、合格最低ラインの値でもありません。
ましてや最上位で合格した学生の学力は全く関係ありません。(トップ合格者の偏差値が70であっても65であっても偏差値表の値は変化しません。)
したがって偏差値だけから学生のレベルを全て推し量る事はできず、たとえば神戸薬科大学のように余裕をもって入学する上位層と何とか入学できた下位層で学力差の大きい大学では、実際に入学した学生のレベルを偏差値のみで一概に判断する事は出来ません。
神戸薬科大学は学力の二極化が進んでいる印象ですが、偏差値が下がると下位層のボリュームが増えてきて、上位層とそれ以外の層の学力差がさらに大きくなるかもしれません。
それであっても一定数の成績優秀層が残ると予測できるのは、伝統校の強みかもしれません。
一方で偏差値の低い大学の傾向を見てみると、神戸学院(35)や兵庫医科(37.5)、特に偏差値表の一番低い欄である偏差値帯35.0の薬学部を見ると、前回までリストアップされていなかった北陸大学や第一薬科大学が名を連ねています。
この2大学は上のランクから落ちてきた訳ではありません。前回までは35.0よりも下のボーダーフリーから上がってきました。
これを以て、この2大学が何らかの要素で難化したと評価すべきとも言えないと思います。
私立薬学の上位でも偏差値キープが精一杯の状況で、中間層では多くの大学が偏差値を下げている状況ですので、全体的な不人気は確実にあります。その中でボーダーフリー~37.5の大学群は受験生にとっては、その差が無いに等しいと判断されている可能性が考えられます。
つまり、人気下位の大学はどこもそんなに違いが無く、大きな団子状態になりつつあるのではないかと思います。これは、自動車教習所を選ぶときと同じような感覚で受験大学を選択してるのに近いかと思います。より人気(偏差値の高い)学校よりも、より近くの学校を選んだり、何となく選んだりという事が増えてきていると思われます。
昨年までボーダーフリーの大学ではなく偏差値35の大学に進学するべく勉強に励んだり、場合によっては浪人したりと何らかの努力が、あまり意味のないものと捉える事もできます。
薬学部の乱立から始まって、偏差値の下落、人気の凋落の中、どのように大学選びをするかは寧ろ重要になってくることは確かです。