【マーケティング小噺#24】 ユーザーが買った理由に真相あり
「Consumer is Boss.(消費者が上司)」P&GのCEOを2度務めた
A. G. ラフリーさんの言葉です。
このシンプルな言葉が全てのP&G社員の行動指針になっています。私も、今の業務でも、常にこの言葉を意識しています。消費者を顧客と捉えればBtoBにも当てはまります。
「Consumer is Boss」の広く知られている意味は「社内の上司ではなく、お客様に従おう」です。当たり前のようなことですが、本当に実践できている組織はどのくらいあるでしょうか。
ラフリーCEOのもと、P&Gも「私たちは消費者と話しをしてきたが、傾聴してはいなかった」と反省しました。消費者の言葉を自分たちに都合よく解釈したり、「自分たちの商品は技術的に優れているから喜んでもらえるはず」と考えたりする自己中心的な傾向を改めました。
在職中、私はもう1つの解釈を聞きました。
「消費者は、神様ではなく人間なので、(上司がそうであるように)いつも正しいとは限らない。そのことも含めて満足してもらえるようにしよう。」です。
例えば、洗濯科学的には泡立ちは汚れ落ちにほとんど役立たないのですが、
多くの消費者は泡立ちがよいと汚れがよく落ちると思っています。
これを踏まえて、手洗いをする人が多い地域では泡立ちのよい洗剤が販売されます。
全自動洗濯機が普及している地域では洗濯中に泡立ちを見る消費者は少ないので、
すすぎ回数を減らすために泡立ちを抑えた洗剤が増えています。
技術的に優れていることを追求するのは大切です。同時に、
消費者の共感と満足を得ることを事業目的と考え、技術をうまく使うことも重要です。