【マーケティング小噺#4】 嫌な顔をされても、お客様へ誠実に
P&G時代、ずっと洗濯関連用品のマーケティングに携わりました。
当たり前のことですが、洗剤メーカーは、よりよい洗浄結果を提供することを目指しています。
そのために製品を開発・改良し続けています。
しかし、P&Gは衝撃の事実に気づいてしまいます。
それは、「洗剤を改良するのは重要だ。しかし、それだけでは不十分かもしれない。」
ご自宅でのお洗濯を思い出してみてください。そのシーンにはどんなものがありますか?
まず、洗濯機。この洗濯機が洗浄環境を決めます。
「洗浄時間」「洗浄水の量と洗浄液の濃度」「洗浄液の温度」「衣類を動かす物理的力」です。
洗剤は「化学的力」を提供しているだけです。仮に洗浄環境が洗剤が力を発揮できな状況に進めば、どんなに素晴らしい洗剤を開発しても、まさに「水の泡」です!
そこで、P&Gはグローバルで家電メーカーや衣料メーカーとの提携活動を推し進めました。
洗濯関連事業歴が長かった私は、アジア地域担当マネージャーとなり、日本やアジアの家電メーカーと協力関係を作っていきました。
例えば、日本では、洗剤の力がより発揮できる洗浄環境を持つとP&Gが考えている「ドラム式洗濯機の普及」を技術的・マーケティング的に応援しました。
日本でもドラム式洗濯機の普及が進み、合わせて洗剤が粉末から液体に移行したことを
実感されている方も多いでしょう。
皆さんも、自社の商品やサービスがお客様に使われるシーンのことを考えてみてください。
(1)単独で使われているか、何かと一緒に使われているか?
(2)使用シーンの中にどんな商品やサービスが一緒にあるか?
(3)それらと協力することで、より良い結果をお客様に届けることができないか?、と。
私は、洗濯機と洗剤(と衣類)のアライアンスに携わった後で、P&G内では、
ウィスパーという生理用品とワコールさんのアライアンスをサポートしたり、転職した会社で、
「かかとケアクリーム(スキンケア商品)と靴下」のアイデアを考えたりしました。
皆さんもぜひ挑戦してみてください。
ただ、戦略的な提携関係を他社と築くのは簡単ではありません。
ご興味があれば、お知らせください。