商標の称呼とは?
皆さん、こんばんは。
今日は、経験上お客様が、商標を選択されるときに、よくある間違いのお話をします。
お客様
「他人に自分の商標を真似されたくないのです。真似されにくい商標はありますか?
一般的なフォントで書かれた商標は、効力が広いと聞いたことがあります。」
弁理士
「商標によって権利範囲が広いとか、狭いとかはありません。商標は、これが自分の
商品・サービスですよ、とお客様に識別していただく標識の登録ですから、自分が
これを世の中に広めていこうとされる商標をお決めになって、それをそのまま登録
するのが原則です。」
お客様
「でも、例えば、特殊な書体で書かれた『ナレッジ整骨院』と明朝体で書かれた『ナレッジ整骨院』とでは
明朝体の方が、一般的で、似ている範囲が広いと思うのですが?」
弁理士
「いえ、似ている範囲の円があるとして、その円の中心が、ずれるだけで、円の広さは同じです。
例えば、太ゴシック体で『ナレッジ整骨院』を登録していて、他人がゴシック体の『ナレッジ整骨院』を
使用していた場合、そのゴシック体の『ナレッジ整骨院』は、太ゴシック体と明朝体とどちらに似て
いますか?」
お客様
「そりゃあ、太ゴシック体のほうに似ていますよ。」
弁理士
「そうでしょう。だから、登録商標によって類似範囲の中心がずれるだけです。
なので、他人の真似を防止することを先に考えるのではなく、先ず、使用する商標を
決めてください。それに類似する範囲は必然的に防護できますから、結果として
混同は生じないようになっています。」
お客様
「なるほど。では、英語とカタカナの2段書きにすれば、守れる範囲が広くなりますか?」
弁理士
「これも同じです。登録商標が2段書きであれば、その2段書と他人の使用する商標との
比較になります。他人が1段書きの商標を使用していれば、2段書きよりも1段書きの
商標の方が、似ていることになりますから、1段書きを登録しておけばよかった、という
ことになります。」
「やはり、自分が世間に広めていこうとする商標そのものを登録するのが原則です。」
お客様
「よく分かりました。」