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日本語学校はどこへ向かうのか 問われる教育の本質【前編】

平山裕康

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テーマ:日本語教師という仕事

認定率32%の衝撃 日本語学校は「淘汰の時代」に入った


令和8年4月30日に公表された、日本語教育機関の認定結果を見て、現場にいる者として強い衝撃と同時に、ある確信を持ちました。

「間違いなく本格的な選別が始まっている」

今回の申請は100機関。そのうち認定されたのは32機関にとどまりました。数字だけを見れば「約3割」と、これまでと大きく変わらないようにも見えます。しかし、本当に注目すべきはそこではありません。

今回の結果で際立っているのは、「取下げ」の多さです。実に53機関が審査途中で申請を取り下げています。つまり、申請した機関の半数以上が最後まで審査に進まなかったということです。

この事実は、制度の性質が大きく変わったことを示しています。かつては、一定の条件を整えれば「申請すれば通る」側面があったのも事実でしょう。しかし今は違います。現場の感覚としては、書類の段階で「このままでは通らない」と判断し、途中で撤退せざるを得ないケースが増えているのです。

さらに見逃せないのは、法務省告示校であっても例外ではないという点です。今回の申請の中には、すでに長年運営されてきた告示校が多数含まれていましたが、そのすべてが認定されたわけではありません。従来の実績や歴史だけでは評価されない、という現実が明確になりました。

また、今回認定されたのがすべて「留学課程」に限られている点も重要です。就労や生活分野はゼロ。これは単に申請数の問題ではなく、「教育として成立しているか」という観点でのハードルの高さを示していると考えるべきでしょう。

こうして見ていくと、今回の認定結果は単なる数値の話ではなく、日本語学校に求められる役割そのものが変わりつつあることを示しています。これまでの日本語学校は、日本語を教え、留学生を受け入れ、生活を支援するという側面が強いものでした。しかし今、評価されているのはそれだけではありません。

カリキュラムがどのように設計されているのか。学習者がどのレベルまで到達するのか。その成果をどのように測定し、社会とどのようにつなげていくのか。いわば「教育機関としての質」が真正面から問われているのです。

そして正直に言えば、この変化を前にして、私自身も大きな不安の中にいます。これまで積み上げてきたものが通用しなくなるかもしれないという感覚は、決して他人事ではありません。

それでもなお、この流れから目を背けることはできません。むしろ今は、「これからの日本語教育とは何か」「本来あるべき教育の姿とは何か」を、改めて問い直す時期に来ているのだと感じています。

今回の認定結果を一言で表すなら、「日本語学校の淘汰元年」です。

ただし、この言葉は単なる危機を意味するものではありません。次回の後編では、この変化の中でどのような学校が生き残り、どのような学校が苦しくなるのか。そして、その中で私自身が模索している「新しい日本語教育の在り方」についてもお伝えしたいと思います。

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