DJポリスに学ぶ相手の心をつかむ話術
【経営者に求められるスピーチ力】[1]でご紹介した「話し方セルフチェックリスト」
の「3..専門用語や業界用語、カタカナ言葉を使ったほうが、信頼度が高まると思う」という項目は、当然NGです。が、勘違いしている方があなたの周りにもいませんか?
NHKでニュース番組を担当していたとき心がけていたのは、言葉を口にする前に、その言葉が「誰にでもわかるか」「すぐわかるか」「はっきりわかるか」の3つの観点でチェックしてみるということです。
「誰にでもわかるか」というのは、どんな年代、どんな層の人にも理解できる言葉であるか、ということ。すなわち、専門用語や業界用語、ある年代の人やある地域の人だけに通じる言葉ではなく、誰にでも同じ意味で通じるか、ということです。
2つめの「すぐわかる」というのは、「耳から聞いてすぐにわかるか」ということです。同音異義語があり、文脈のなかで紛らわしい場合などは、他の言葉でいいかえるようにします。
3つめの「はっきりわかる」というのは、
あいまいで主観的、一人よがりな表現を避け、具体的に表現すること。
たとえば、「すごく寒い朝」ではなく、「氷点下何度でこの冬一番の寒さ」のように具体的なデータで示したり、「吐く息も白い朝」など目に浮かぶような描写で表現します。
文字を追って確認できる新聞などの文字媒体にくらべ、話し言葉だけで伝える、しかも、不特定多数の視聴者を対象に発信するニュースでは、的確な言葉、伝わりやすい言葉を選ぶというのが鉄則なのです。
もちろん、聴き手の年代や顔ぶれ、立場がわかっているプレゼンテーションなどの場合は、聴き手を想定して、言葉を選ぶ工夫もできますが、一般的な場合には、難しくなじみの薄い言葉を選ぶよりも、「誰にでもわかるか」「すぐわかるか」「はっきりわかるか」の観点からチェックし、言葉を選ぶほうが、伝わりやすく、聴き手との距離も縮まります。
言葉には、言霊といって、魂がこもっているとも言われますね。
相手の心にしっかりと響く言葉を選んで、あなたの思いを伝えてください。