空き家のまま放置すると固定資産税が6倍に増える!?
空き家に関するお悩みで最も多いのが老朽化の問題です。
特に、所有者が遠方に住んでいる場合は、思うように管理ができないばかりか、空き家が今どのような状態かも把握できないこともあります。
こうして管理されずに放置された空き家は、景観上、衛生上、治安上、近所や地域に悪影響を与えるようになります。しかし、空き家を放置することは、所有者にとってもリスクがあります。今回は老朽化した空き家によるリスクと対処法についてお伝えいたします。
空き家の老朽化によるリスク
日本ではほとんどの住宅が木造なので、空き家となって、常に締め切られた状態が続くと、湿気がたまってみるみる老朽化していきます。
国土交通省の調査では、空き家の3分の2が、旧耐震基準で建てられた1980年以前の建物であることがわかっており、本来ならば耐震診断を受けて安全性を確認することも必要なのです。
雨漏りや白蟻の発生にも気づかず、倒壊の危険性がある建物も少なくありません。また倒壊に至らなくても、地震や台風による塀の落下や屋根材、外壁材の飛散の危険があります。
どれも人に当たれば人身事故です。たとえば、屋根材は瓦、スレート、トタンなどの種類がありますが、どれも落ちてきたら深刻な被害につながります。瓦は重量があり、トタンは剥がれた断面が鋭利で危険です。外壁材も同様です。
ブロック塀も古いものは耐震性が低く、地震で崩れたら避難経路を塞いでしまうことになります。
工作物責任とは
不動産の所有者には工作物責任といって、住宅の瑕疵によって他人に損害を与えた場合、損害賠償責任を負うと法律で規定されています。建物だけではなく、敷地内にある庭木、設備等すべてが対象となります。
所有者はきちんとメンテナンスを行い、事故につながりそうな箇所は速やかに修繕をする義務があります。
老朽化した空き家の対処法
そこで、老朽化した建物をどうするかという問題について考えた時、対策は修理するか、解体するかの2つとなります。
コンディションが良ければ、修理をして賃貸や売却を検討するのも良いですが、老朽化が進んでいれば、修理するのは容易ではなくコストもかかります。
状態次第では、更地にしたほうが活用しやすいかもしれません。どちらにしても結構な費用負担を伴うことになります。
空き家を今後有効活用する予定があれば、なるべく早く、修繕やリフォームを行うことです。旧耐震基準で建てられた家ならば、まずは耐震診断を行うことが重要です。
将来、使う予定がないなら、更地にするのも一考でしょう。解体は建物の素材や大きさ、立地条件などによって異なりますが、目安としては100万円程度の費用がかかります。
この費用が捻出できないために、空き家を放置している人も少なくありません。売却しても費用のほうが高くついてしまう場合もあるのです。
自治体の中には、空き家解体に補助金を助成しているところもありますので、問い合わせてみると良いでしょう。たとえマイナスになったとしても、倒壊による危険を回避することができます。
また、これから先も維持管理にかなりのコストがかかることを思えば、解体して活用、売却することも検討するべきかと思います。
老朽化させないためには定期的な換気が必要
空き家の対処法が決まるまでは、維持管理に努める必要があります。特に換気をせずに放置しておくと、湿気で建物が傷んだり、そこにシロアリが発生したりすることがあります。
換気は季節や天候によって対処方法が違います。
たとえば降雨時は屋外の湿度が高いので、換気をするのは逆効果です。したがって、換気扇による連続換気は考えものです。高温多湿の夏場は、湿度が低くなる夕方に換気をしたほうが効果的です。このように除湿効果の高い換気方法を、その時々に応じて実施するのが望ましいです。
また、建物だけでなく、庭木や草にも目をくばり、風で物が散乱することのないよう片付けておくことなども大切です。
老朽化する前に他の活用方法を考える
以上のように、誰も住まない空き家を持つということは、労力がかかるだけでなく、思わぬリスクや費用負担などを引き寄せるものです。
老朽化すると何らかの対策をとらないと、周辺住民に迷惑をかけ、自治体の調査によって、特定空き家に指定されることがあります。特定空き家に指定されると、修理をしないとペナルティが課せられ、最終的には所有者負担で強制的に除却されますので、どちらにしても放置することはできません。
しかし、有効活用することで、迷惑な空き家も地域の資源となり得ます。できれば、老朽化する前に有効活用について考えてみましょう。
まずは不動産としての価値はどのくらいなのか?
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