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お客さまにお伝えしたいこと
- 分散投資は複数の資産や投資タイミングを分けて投資することでリスクの一部を軽減し、安定した運用成果を目指す投資手法で主に「資産分散」と「時間分散」がある
- 正しく分散投資をしないと、意外な落とし穴がある
- お互いに異なる動きをする(相関の低い)銘柄や資産を組み入れることで分散投資によるリスク抑制効果が期待できる
- 分散投資では低減できない共通リスクも存在する
【分散投資について】
分散投資は、複数の資産や投資タイミングに分けて投資することで、リスクの一部を軽減し、安定した運用成果を目指す投資手法です(将来の成果を保証するものではありません)。
主に投資する資産や銘柄を分散して投資する「資産分散」と、投資するタイミングを分ける「時間分散」とがあります。
資産分散とは、資産や銘柄など1つの商品だけで運用をしないということです。
こちらは主な10の投資資産について、2004年から2024年までの年間リターン順位の推移を示したものです。
毎年色の順番がバラバラである通り、投資するリターンの順位は毎年変わります。ある年で1位だった資産が翌年には最下位になっていたこともあり、その逆も然りです。
そのため、特定の資産だけに投資した場合、運用成果が良い年もあれば悪い年もあるということになります。一方で赤括弧で囲っている10の資産を均等に分散投資した緑色はどの年も1位にはなっていないものの最下位にもなっておらず、常に中位で推移していたことがわかります。

特定の資産に投資した場合、リターンはばらつきがあります。
それに対して株式や債券、日本や海外など異なる投資対象を分散して組み合わせることでリターンの平準化が期待できます。
これが資産分散することのメリットで、1つの商品だけではなく異なる投資対象を組み合わせることでリターンのばらつきを抑える効果が期待され、一定のリスク軽減が見込まれます(すべてのリスクが低減されるわけではありません)。
次に時間分散は長い時間軸で複数回に分けて投資することです。
これは、T時点からT+4時点までそれぞれ均一に購入した場合のそれぞれの購入単価と全体での平均購入単価を示したものです。
一度にまとまったお金を投資するのではなく、一定金額を継続的に投資し、購入時期を分散させることで市場環境が変化する中でも一時的な価格変動のリスクを分散させる効果が期待できます。
このような価格が変動する商品に対して、常に一定金額を定期的に購入することで価格変動の影響を平準化し、購入単価の偏りを抑える効果が期待される手法を“ドルコスト平均法”と呼びます。
時間分散では長期投資することが大切になります。
こちらは、日本株式、外国株式、日本債券、外国債券の主な4資産について、2001年から2024年までの1年間から15年間までの年率リターンを示したものです。
1年間ではリターンの幅が大きいのですが、期間が延びると上下の幅は小さくなり、15年間だと過去の実績になりますがマイナスリターンは無くなっていました。
時間分散で長期間保有し続けることで、短期的な価格変動リスクの影響が緩和される傾向が見られます(過去の実績に基づくもので、将来を保証するものではありません)。
このように「投資する対象を分散する」「投資するタイミングを分ける」など、さまざまな視点で分散して投資することになります。
分散投資とは、さまざまな視点で分散して投資することで、リスクを抑えて着実なリターンを目指す投資方法です。
【分散投資の落とし穴とは】
ただし、正しく分散投資をしないと意外な落とし穴があります。
分散投資は1つだけではなく複数の投資対象に分けて投資することになります。でも、単に複数の投資対象に投資するだけではリスクを抑制できません。
ここでは、投資信託の純資産上位10ファンドを上げています。この10ファンドを均一に分散して投資した場合には、どのようになっているでしょうか?
実はこの上位10ファンドはいずれも株式を投資対象とする投資信託でした。そして10ファンドの内5ファンドは米国株のみに投資するファンドで、全体の資産構成を見ると実に全体の8割が米国株という偏った構成になっている傾向が見られます。
このように分散投資をする上で投資対象の違いなどを考慮しないと、複数のファンドに投資していても、資産内容が類似している場合はリスク分散の効果が十分に得られない可能性があります
また、分散投資の方法として、プロによる分散投資したポートフォリオを運用する投資信託を活用することがありますが、利用する投資信託を選ぶ際にはテーマ型などは偏った運用になっている点にも注意が必要です。
あるテーマ型の投資信託と分散型の投資信託について、GICSと呼ばれる業種構成割合を比較したグラフです。
緑色で示した分散型の投資信託はそれぞれの業種に満遍なく配分されていますが、オレンジ色のシェールガス関連の投資信託はエネルギー関連が、青色の半導体関連の投資信託は情報技術がそれぞれ9割以上の割合となっており、特定の業種に偏った運用になっています。
このように、運用の目的によってはリスクが偏った運用になっていることもあるので、投資する商品を選ぶ際には運用の中身などもしっかりと確認する必要があります。
【分散投資で重要なのは相関】
分散投資で重要なのは投資する対象同士の関係です。
相関と呼ばれますが、それぞれが異なる動きとなっていることでリスクを抑制させることができます。
これは、それぞれの銘柄のリスクが30%でそれぞれの相関が0.1とほとんど関係ない動きとなっている場合、銘柄を増やして均一に投資している場合の全体のリスク水準の推移を示したグラフです。オレンジ色で示している通り、銘柄数を増やしていくことで全体のリスクを低減させることができます。
それが、相関が0.8とそれぞれがかなり連動して動くような銘柄となっている場合、分散投資でリスクが低減できる割合は大幅に低下していることが分かるかと思います。
分散投資で重要なのは投資する対象同士の相関です。同様の値動きをする資産同士では、分散効果が限定的となり、リスク軽減の効果が小さくなる可能性があります。
それぞれが異なるような動きとなる相関の小さなものを組み合わせて投資することが分散投資のポイントとなります。
そして、分散投資でもう1つ気をつけなければいけないのは分散投資では低減できない共通リスクが存在することです。
これは先ほどの分散投資の事例ですが、銘柄数を増やしていっても青い点線部分までしか、全体のリスクが低減していないことがわかるかと思います。
株式の投資において分散投資でリスクを抑制できるのは投資する銘柄に特有の固有リスクです。それに対して業種や為替などのファクターと呼ばれる共通の特性については、分散投資では低減できないので、ポートフォリオ全体で管理する必要があります。

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