客観的な証拠の重要性
ネット情報は信用できる?
先日、「学生がネット情報を鵜呑みにしてしまう」という話を聞きました。
ネットで検索した際、上位表示されたサイトに書かれていた内容を、特に疑問もなくそのまま正しいものとして受け止めてしまうということのようです。
私の業界でも、相談者さんがネットでいろいろ調べてから相談に来るということが増えています。
これ自体は何も悪いことではありません。
ですが、中にはその相談者さんのケースにはあてはらないようなネット情報を信じこんでしまい、こちらの話を聞いてくれない方もいらっしゃいます。
こういう方は、弁護士へ相談する目的も、実は適切なアドバイスを受けたいのではなく、自分が正しいと認めてもらいたいだけなのかもしれません。
ネットの情報は、正しいものもあれば、間違っているものもあります。
しかし、中にはどちらとも決めかねるようなものもあります。
私たち弁護士が取り扱うような法律的な内容では、こうしたどちらとも決めかねるような情報が多いように感じます。
これは、法律問題が、前提事実がほんの少し違うだけで結果が大きく変わってしまうようなものだからです。
あるケースでは勝訴した裁判例があったとしても、似ている事案だから必ず勝訴できるというわけではありません。
重要な前提事実のところが違っているかもしれないからです。
情報をそのまま鵜呑みにしない
人間は、自分に有利なもの、正しいと思いたくなるものを信じたくなってしまう傾向があります。
ネットの情報は、出どころも様々で、信頼できるサイトであるかどうかは、一見しただけではわかりません。
検索で上位表示されるのは検索エンジンによるサイトの作りが評価されているだけであって、内容が真実であることを保証しているわけではありません。
ネットの情報は、そのまま受け入れてしまうのではなく、その情報の持っている価値をよく考えてから受け止めるようにしていただきたいと思います。
メディアの情報にもご注意を
ところで、ネット情報に限らず、最近はテレビや新聞の情報でも、最初に目にしたり耳にした情報を疑いもなく正しいものとしてそのまま受け入れてしまっていないでしょうか。
以前にも書きましたが、テレビや新聞などのマスメディアの情報も、完全中立で絶対正しいわけではなく、取材対象の選別や編集方法、放送の順番や放送する時間の長短などにより、何らかの意思が必ず働いているはずなのです。
ですから、テレビや新聞の情報も、ネット情報と同じく、そのまま受け入れてしまうのではなく、その情報の持っている価値をよく考えてから受け止めなければいけないわけです。
このように、情報というものは、どんな情報であっても、受け取った人の側できちんと判断しなければ、思わぬ結果となってしまう可能性が高くなるものです。
情報と聞くと発信する側の問題だと思いがちですが、情報は「受け取った人次第」のものだということを、ぜひ多くの方に知っておいていただきたいと思います。