むちうち(頸椎捻挫、外傷性頚部症候群)で12級が認められるには
交通事故の被害者になったら、まずどうしたらよいでしょうか?
まずは「治療」です
それはもちろん「治療」です。
損害賠償なんて二の次です。自分の体より大事なものはありません。
また、実は、一日も早く病院へ行くことは、損害賠償のことを考えてもとても大事なのです。通院開始が遅れれば遅れるほど、加害者側(特に保険会社)は詐病を疑うようになるからです。
なお、病院では、症状はできる限り正確に、遠慮せず全て告げて、病院の記録に残してもらうようにしてください。
訴えていた症状がカルテに記載されているかどうかで、後の結果が変わってしまう可能性があるからです。
治療費はどうなる?
さて、治療をしていくとなれば、治療費も心配となります。
通常、相手が100%悪いか、それに限りなく近い場合は、相手の保険会社が治療費を進んで支払ってくれることが多いです。この場合、当面は心配いりません。
しかし、あくまでも「当面」です。保険会社は、様々な理由をつけて治療期間を短くしようとしてきます。保険会社が勝手に治療費の支払いを打ち切ってくることもあります。ですので、こちらが思っているとおりの治療費を出し続けてくれるとは限りません。
また、例えば双方ともに事故の原因が相手にあると言い張っているようなケースでは、相手の保険会社がすぐには治療費を支払ってくれないことも珍しいことではありません。
実は賠償は「後払い」が原則
交通事故の被害は、法律的には「不法行為による損害賠償」であり、これは、最終的に裁判で相手に責任があると認めさせれば相手に負担してもらえることになるという「事後払い」が原則となっています。
ですので、交通事故で負ったケガの治療費は、必ず加害者の保険会社が先に支払ってくれるというものではないのです。
相手の保険会社が支払ってくれない場合や、相手が任意保険をかけていない場合などに、被害者を救済するための制度が自賠責保険です。
ですが、自賠責保険は誰かが何かをしてくれるものではなく、自分で請求の手続をしなければなりませんから、非常に大変です。
また、自賠責保険には上限や基準があり、常に十分な補償が受けられるとは限りません。
勤務中の事故であれば労災保険を利用することも考えられますが、やはり手続は自分が動かなければなりません。
労災の場合、制度は比較的手厚いといえますが、会社が手続に不慣れな場合には、会社との関係でトラブルが起きることも否定はできないところです。
このように、交通事故で負ったケガの治療費は、当然に相手が病院に支払ってくれるというものではないのだということを、知っておいていただければと思います。
治療のことについても早めに弁護士に相談を
相手の保険会社が支払ってくれない場合には、上記で紹介した自賠責保険や労災保険のほか、自分の加入する保険の特約(人身傷害補償特約)を利用することも考えられます。
もっとも、どの手続がもっともよいかということはケースバイケースであり、一般論として説明するのは難しいところです。
ですので、なるべく早く弁護士に相談していただきたいところです。
なお、弁護士に相談する場合には、できればなるべく交通事故に精通している弁護士、事故直後からの相談やサポートをしてくれる弁護士に相談することをお勧めします。
交通事故に精通している弁護士であれば、治療中の対応や判断についても、適切なアドバイスをしてくれるはずです。
また、弁護士に、自賠責保険の請求手続などを任せてしまうこともできますので、煩わしい手続から離れることもできます。弁護士費用保険をつけていれば、基本的にはご自身の負担がなく弁護士に依頼できますので(*)、なるべく早い時期から弁護士に任せてしまう方がよいと思います。
もっとも、弁護士の中には、治療が終了した後での示談交渉からしか相談や依頼を受けないという人もいますので、事前にホームページなどをご確認いただき、事故直後から相談やサポートをしていると表示している弁護士を探してご相談いただいた方がよいと思います。
私はもちろん、事後直後からご相談に対応し、サポートさせていただきます。
(*)弁護士費用保険には保険の条件があり、この条件の範囲内であればすべて保険でカバーされますが、弁護士費用は法律事務所ごとに違うので、弁護士によっては保険を超える部分の自己負担を求めてくる場合もあります。