Mybestpro Members

岡﨑正毅プロは北海道テレビ放送が厳正なる審査をした登録専門家です

本格的な台風シーズンが到来、知っておくと安心!「雑損控除」

岡﨑正毅

岡﨑正毅

テーマ:税金

近年は気候変動の影響により、集中豪雨や大型台風など自然災害の被害が深刻化しています。
また、各地で相次ぐ地震が近い将来の大震災の到来も危惧させており、それに伴い、個人の財産が損失を受けるリスクも高まっています。
万一の際に活用できる制度が、所得税・住民税の「雑損控除」です。
いざという時のために、概要を確認しておきましょう。

この記事のポイント
・災害・盗難・横領による被害は「雑損控除」の対象。
・対象となるのは、自宅や家財など通常な生活に必要な資産。
・適用には確定申告が必要。証明書や写真などの準備が重要。

自宅が災害・盗難・横領の被害に遭ったとき、税負担を軽減できる

「雑損控除」とは

災害・盗難・横領により、本人や扶養親族等が所有する「一定の資産」に損害が生じた場合、
所得から一定額を控除できる制度です。
他の所得控除よりも優先して差し引くことになっております。

「一定の資産」とは、次の2つの要件を満たすものです。
 ◎本人や扶養親族等が所有している
 ◎事業用資産等や、「生活に通常必要でない資産」ではない

例えば、自宅や家財道具、自動車などは対象となります。一方で、別荘や高額な貴金属・書画・骨董品などは対象外です。

雑損控除の額

控除額は、損害額や関連支出、保険金の有無などを基に計算し、次の2つのうち、いずれか金額が多くなる方となります。

①(損害金額+災害等関連支出の金額 ※1 ※2-保険金等の額 ※3)-総所得金額等×10%

②(災害関連支出の金額※1-保険金等の額 ※3)-5万円

 ※1 災害により滅失した住宅、家財などを取壊しまたは除去するために支出した金額など
 ※2 盗難や横領により損害を受けた資産の原状回復のための支出など
 ※3 保険金等の額はまず損害金額から差し引く。保険金等の額が損害金額を超える場合には、
    災害(等)関連支出の金額から差し引く

もし損失額が大きく、その年の所得金額から控除しきれない場合には、原則3年間(特定非常災害の場合は5年間)にわたり繰り越すことが可能です。
また、その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の場合は「災害減免法」による軽減措置を選択適用することができます。

「損害金額」がわからないとき

損害額は、原則として「その損害の生じた時の直前における資産の価額」を基に算出しますが、その算定が難しい場合は、国税庁が提示している「合理的な計算方法」による計算も認められています。

国税庁Webサイト「雑損控除の適用における『損失額の合理的な計算方法』」(令和8年6月1日現在)損失額の合理的な計算方法
(1)住宅に対する損失額の計算
 ①住宅の取得価額が明らかな場合
   損失額 = (住宅の取得価額 - 減価償却費) × 被害割合
 ②住宅の取得価額が不明の場合
   損失額 = 〔(1㎡当たりの工事費用 × 総床面積) - 減価償却費〕 × 被害割合
(2)家財に対する損失額の計算
 ①家財の取得価額が明らかな場合
   損失額 = (家財の取得価額 - 減価償却費) × 被害割合
 ②家財の取得価額が不明の場合
   損失額 = 家族構成別家庭用財産価額 × 被害割合
(3)車両に対する損失額の計算
   損失額 = (車両の取得価額 - 減価償却費) × 被害割合

ケース別の取り扱い

ケース① 自宅がシロアリの被害に! →適用可能
シロアリ被害は「生物による異常な災害」に該当。
住宅の修繕費用やシロアリ駆除費用は雑損控除の適用対象です。
一方、シロアリ被害を事前に防ぐための費用は対象外です。

ケース② クマに店舗を荒らされた! →適用不可能
店舗は事業用資産なので雑損控除の対象になりません。
本ケースは、事業所得の必要経費になります。
なお、個人の住宅が被害を受けた場合は適用可能です。

ケース③ 空き巣に入られた! →適用可能
雑損控除は自然災害に限らず、盗難や横領の被害にも適用できます。
警察に被害届を提出する際に、被害を届け出たことを証明する書類も取得しておきましょう。

ケース④ 特殊詐欺に騙された! →適用不可能
詐欺や恐喝の場合は雑損控除を適用できません。
近年は詐欺の手法も巧妙化しています。
被害に遭わないよう、くれぐれも注意すると共に、万一の場合はすぐに警察に相談しましょう。

雑損控除の適用には確定申告が必要。被害状況は写真に残しておこう

適用のポイント

雑損控除の適用を受けるためには、確定申告を行う必要があります(翌年以降に繰り越す場合、連続して確定申告を行います)。
申告にあたっては、下記の「check!にある書類等」を用意しましょう。
特に、写真などの「被害状況が確認できるもの」は、被害を受けた直後に用意し、確定申告の
時まで残しておく必要があります。
災害発生直後は先のことまで考える余裕がなくなってしまいがちですが、片付けに入る前に、
必ず被害の様子をスマートフォン等で撮影しておきましょう。

check!確定申告に必要なもの
□ 罹災証明書や警察の証明書
□ 被災資産の取得価額や取得時期が分かる資料
□ 被害状況の写真
□ 災害等関連支出(修理費や撤去費等)の請求書や領収書等
□ 受け取った保険金や損害賠償金等の資料

事業用資産が被害を受けたとき

個人が所有する事業用資産に、災害による損失が生じた場合、その損失額は必要経費に算入できます。
また、法人が所有する資産に生じた損失や撤去費用などは損金に算入できます。
災害はいつ起こるか分かりません。
万一「その日」が来ても慌てずに対処できるよう、制度の内容や必要書類等を平時から確かめておくことが大切です。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

岡﨑正毅
専門家

岡﨑正毅(税理士)

岡﨑正毅税理士事務所 岡﨑麻美社会保険労務士事務所

経営者や個人のさまざまな悩みに応え、社会保険労務士とタッグを組み、手厚いサポートを実現。税金に関することや、経営・経理の悩みのほか人事・労務に関する諸問題や、年金の相談などにも幅広く対応。

岡﨑正毅プロは北海道テレビ放送が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

総合力で経営者と相続をサポートする税務・会計のプロ

岡﨑正毅プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼