今、改めて決めておこう!「経費に対するブレない考え方」
◎会計事務所の5月は超繁忙期。
会計事務所にとって、5月は、2月3月の確定申告期に劣らず超繁忙期。
わが国では3月決算の会社が多く、法人税の申告が5月末までなので、これらの会社の決算・申告業務が立て込むため、たいていの会計事務所は、この時期殺気立っている。
しかし、決算月をいつにするかは、その会社の自由なのだ。
なにも4月~3月を一事業年度にしなくてはならない法的な規定は一切ない。
そこで、あえて問う。御社の決算月、適切ですか?
利益が大きく上がる月は期首? 期末?
御社の決算は何月ですか? また、その月に決算を行う理由がありますか?
キャッシュが一番残る月はいつですか?
実は決算月をいつにするかは、企業経営にとって大切なことだ。
特に業績が季節変動するような業種の場合、決算月の設定をよく考える必要がある。北海道では、それに該当する企業が多いのではないだろうか。
では、1年を通じて最も利益が大きく上がる月は、期首と期末、どちらに設定した方がいいのだろうか?
答えは、期首となる。その方が節税の観点では望ましいからだ。
◎ラストスパートよりも先行逃げ切り
なぜ、利益が大きく上がる月を期首にしたほうがよいのか?
それは期末までじっくりと時間をかけて節税対策ができるからである。
逆に、期末に利益を大きく上げると、節税対策をする時間がほとんどないことになる。
つまり、ラストスパートよりも先行逃げ切りで対応すべきなのだ。
さらにいうならば、会社に最もキャッシュがある時期の2ヶ月前を決算期するのが望ましい。
法人税の申告・納付は、決算月の2ヶ月後。だから、納税資金に余裕があるように、決算期を定めようという思惑だ。
会計上の利益と実際のキャッシュの流れには、ズレがある。利益・所得が出て、法人税や消費税など税金を納めなくてならない時に、キャッシュがなく、納税のために銀行に融資を頼むような無駄なことをしないためにも、検討する価値はあろう。
さて、その決算期の変更は、株主総会の決議後に決算期変更の旨の届出を税務署に行えばOK。
登記の必要はなく、費用もかからない。また、届出期限がないので、申告期限前ならば決算期後でも届出が可能。つまり、それほどの手間をかけずに、簡単に決算期変更はできるのだ。
3月決算にこだわらず、一度見直してみたらいかがだろうか。
ただし、決算期変更で1年未満の営業年度になる直後の事業年度は、税額計算において「交際費の600万円控除枠」「減価償却費」「地方税均等割」等を月数按分にすることを忘れずに。