建物の大きさによって変わる坪単価(床面積当たりの工事単価)の話
住宅計画のご相談を受けた時に、依頼主の方と設計事務所との間で、建築に関わるトータル予算について、お伺いしたり、説明したりします。
私からは以下のような費用項目のある標準説明シートに概算金額を入れて説明します。
消費税はとりあえず5%で入れていますが、請負工事契約は今年9月30日までは、5%ですが、以後は8%になります。
35坪の家の概算予算を計算してみます。総合計は、何を入れて、何を入れないかは状況がそれぞれ違いますので、必要な項目を集計して総予算とします。
1.建築本体工事費
本体 35坪×50万/坪=1,750万円
特殊基礎 杭打ちがなければなし あれば100万円程度計上
作り付け家具 (リビングボード、食器棚、等)
消費税 1,750万円×5%=87.5万円
合計 1,838万円
予備費 工事中の設計変更などによる増減対策費用 100万円
工事中の増減は、あってもだいたい50万くらいの増加で抑えるようにしています。設計変更の都度、工事をする前に増減の費用を工務店さんに出してもらい実際に変更するかどうか判断していきます。
中島建築設計事務所
http://nakajima-sekkei.com
設計事務所では、坪単価45万で計画していくか、坪単価50万で計画していくか、また希望の床面積と必要な床面積を初期段階でいろいろ検討していきますので、初期段階ではこのあたりは計画図を出す度に流動的となります。作り付け家具もどこにこだわった造り付け家具をつくるか予算を見ながら検討します。作り付け家具ではリビング収納30万とか、食器棚25万とか、洗面化粧台25万とか。キッチンはどの程度とか。
住宅メーカーでは標準仕様書にもとづいて、だいたいの工事費用が設定されているので、初期の段階で住宅メーカーが工事本体工事費にいれていな屋外給排水管工事などの費用や仕様変更やオプション工事が選択されてと費用はすぐ出てくるしくみのようです。
2.外構工事費
駐車スペース舗装 30万
ロードヒーティング舗装込
既製品ガレージ
既製品物置
フェンス、塀
植栽等
ホームセンターに行っていろいろ外構の費用を調べて、建て主から支給をしてもたっらたりして費用を抑えたりします。ウッドチップや煉瓦をホームセンターに行って購入し、支給したこともあります。
工務店さんによって外構工事費をすべて外注しているところ、社長とアルバイトさんがコツコツするところといろいろですが、一式外注しているところは比較するとやはり高くつくようです。
3.住宅に関わるその他の費用 (新調する場合)
カーテン 40万 カーテンメーカーのショールームで選んでの購入か、
大型家具店での購入かによって費用だいぶ変わります。
クーラー 20万
洗濯機 15万
テレビ 15万
エアコン 15万
照明器具 1の建築工事に費用を入れています。
家具(食器棚、食卓テーブル、ソファなど)40万
トータルで建築工事費の1~2割程度。
全国平均では、175.1万円(住宅金融支援機構調べ)
4.設計監理報酬
建物本体工事費(消費税別)の8% (当社の標準です。)
床面積が30坪以下は10% (消費税別)
床面積が45坪以上は大きさに比例してパーセントを落としていきます。
(設計費と工事監理費の割合6:4)
1,750万×0.8%=140万円
消費税 5% 7万円
計 147万円 (設計料88万+工事監理料59万)
概算段階ではこのように工事費×パーセントで計算しますが、報酬見積書を出すときには人件費×時間で業務の内容ごとに計算、集計して見積書を提出しています。
5.建築確認申請料 札幌市の場合 床面積100㎡~200㎡
確認申請 27,000円
完了検査 21,000円
合計 48,000円
6.その他
解体工事費 既存建築物床面積(坪)×約2万円/坪 建替えの場合。
地盤調査費 6万円程度
引越し費用 建替えの場合は出るとき、戻る時合わせて20万
仮住まい費用(建替えの場合)
アパート代 5ヵ月 7~10万円×5ヵ月=35万円~50万円
7.地鎮祭、上棟式
地鎮祭 神社 2~3万円 しない場合はなし
上棟式 神社 2~3万円 しない場合はなし
社長、棟梁、他職人方 寸志、料理家族を入れて10人程度で10万円程度
8.近隣挨拶
菓子折り 2,000円~3000円程度×軒数 道路の幅にもよりますが、幹線道路でなければ向う3軒、両隣で5軒分くらい。工事車両の駐車は工事の音などどうしても近隣に迷惑をかけることになるので、挨拶はしっかりしておいた方がよいです。
施主が直接行く場合、施工会社が行く場合どちらもあります。
9.税金等
(建てた時)
不動産取得税
建物 (評価額1440万―控除1200万)×3/100=7.2万円
長期優良住宅にすると控除額は1300万になります。
固定資産税評価額を建築工事費1800万の80%とした場合。
土地 すでにもっている場合はなし。
取得した場合は、建物同様に固定資産税課台帳に登録されている額の3%です。
取得時期により上記課税評価額に1/2をかけて計算します。
また、4.5万円か土地1㎡あたりの価格×住宅の床面積の2倍で200㎡以内×3%の内
多い金額が価格から控除されます。
所有権保存登記 登録免許税 (課税評価額1㎡あたり9万4千円で計算)
35坪=116㎡
116㎡×94,000円/㎡=10,904,000円
10,904,000円×4/1000=43,616円≒4.3万円
抵当権設定費用 1,800万借入の場合 4/1000 印紙代7.2万円
表示登記 登録免許税、土地家屋調査士報酬等 8万円程度
司法書士業務報酬(減税証明などを取るなど) 2.5万円程度
※贈与税 個人から不動産などの財産を贈与された人に対してかかる税金
10 その他
ローン取扱手数料
火災(地震)家財保険料
以上
●設計監理料について住宅メーカーと設計事務所の比較
住宅メーカーの見積書にも設計料として50万程度は入っているようです。設計事務所に頼むと設計監理料が別途追加で必要になるように思いますが、住宅メーカーは営業経費を含めて経費が15%程度です。一方、設計事務所に頼むと相見積りの上、工務店に頼むことになりますが、工務店の見積書では経費は営業マンがいない、モデルハウスを持っていないなど営業費があまりかからないので、概ね10%程度で出てきます。このように比較してみると住宅メーカーに頼む場合も、設計事務所に頼む場合も工務店さんの経費が5%程度低いことを考慮すると設計料については、どちらもだいたい同じくらいと言えると思います。
●工事監理(設計図どうり工事がされているかどうかの確認などの業務)について
工事監理料は住宅メーカーには書かれていないようです。現場管理費として計上され、現場担当者(施工の監督が)が現場帳場さん兼用で管理をしているのが現状のようです。法律上は資格のある工事監理者が定められていますが、設計部の方が現場にきてチェックするのは少ないようです。そのあたりの事情は住宅メーカーによってまちまちです。
住宅メーカーに頼む場合は、そのあたりの現場での品質管理を誰がどのようにされているかのチェックが必要かと思います。大手の住宅メーカーでは施工管理基準や施工管理チェックシートを持っていますが、施主にそれを渡したり、細かく報告したりすることは知る限りないようです。設計者の工事監理とは別ですが、保証会社の検査記録は渡されているのではないかと思います。
私のところの工事監理では、工事監理チェックシートを使い、各工事種目の検査項目ごとに日付、検査の内容、方法、結果を整理し、記録写真と合わせて建築主にお渡たしするようにしています。他の設計事務所もいろいろとフォームはちがいますが、そのようにされていると思います。