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髙橋慎吾プロは北海道テレビ放送が厳正なる審査をした登録専門家です

「もしかして」の意識

髙橋慎吾

髙橋慎吾

テーマ:塾授業のこと

初めてこちらに投稿します。
これから、当教室が指導にあたって大切にしていることで、皆様にも有益な情報をお伝えしていきたいと考えています。よろしくお願い致します。

さて、勉強を教えたり教わったりするときに、「どう教えたらよいのだろう」「どこから説明したらよいのだろう」、あるいは「どこがわからないのかもわからない」という状態になったことは、皆さんもありませんでしたでしょうか。

そういった場合、当教室では、「もしかして」という観点に立ち、複数の見立てを生徒さんに示しながら、疑問と解決策を明らかにしていくこととしています。

今回は、数学のケースから、この「見立て」についてのお話をしたいと思います。


計算はわかっている。でも。


学習への苦手意識がある場合、「なぜ」「どう」苦手なのかという観点に立つ以前に、もう「いやだ」になっているケースも少なくありません。

数学の公式を例にしてお話します。

「形」で覚えられる学生さんは、それはそれで良いと思うのですが、「苦手だ」という学生さんの中には、「公式を覚えなければ」ということで頭がいっぱいになり、計算を正しく行うということや、そもそもどうしてそういう計算になるのかという意識が薄れてしまう方もいらっしゃいます。

実際、公式を使うに至るまでの計算を自分でもやってみて、「そういうことか!」という「発見」が面白く感じられれば、数学を好きになる、あるいは嫌いな気持ちが薄れるチャンスでしょう。しかし、それが「やっぱりわからない」「誰にどう聞けばいいかわからない」となれば、嫌な気持ちが増すものです。

だいたい、計算は「なんとなく」わかっているけど、「何か」が足りないような気持ちで、感覚のまま進んでしまって、ミスを誘発したり記述が止まったり…というところから、その悪循環が始まっていくように感じます。

「何か」が足りないのはわかっている。でもどうしていいのかわからない中で、「勉強が足りない」「もっとやらなきゃダメだ」とだけ言われ続けると、子どもとしてはだんだん、「わかってもらえないからもういいや」となってくるかもしれません。

段階を踏んだゴールへの道


もしかすると、計算自体はなんとなくできていても、時間の都合や学力の見立て(これぐらいは説明しないでもわかるだろう、など)によって、丁寧に問題を確認する時間がないうちに、なんとなくが重なり、精度が落ちていく状態を、「わからない」という言葉でまとめているのかもしれません。

その見立てをつくり、「自分の中に落とし込む」ようにするために、次のステップを考えました。

①いっしょに公式に至る計算を、時間をかけて確認する
②確認の中で、「どうしてそういう処理をするのか」「どこが注意点なのか」をはっきりと言葉にする
③少しずつ自分で理解できるように、見守りながら演習する時間をつくる

数式を言葉に

説明を聞いている段階で「わかった!」となって、それで終わってしまっては、また「なんとなく」の繰り返しに戻ってしまいますので、なるべく説明から時間が経たないうちに自分でも確認するという流れに持っていきます。

そうすることで、この学生さんについては、数式の世界をとらえる視点が少しずつ広がり、「やってもできない」という固定概念が「こうしてみるとどうだろう」という意識に変わり始めたように感じられます。

「そうとらえれば、少しは楽しく数学に触れられるようになったかも」とのことです。

意外と見落とされることに、解決の糸口が


勉強を見る立場になると、日頃の関係が近ければ近いほど「これぐらい言わなくてもわかるだろう」という
気持ちが強くなり、つい学習量やテストの点数など、わかりやすいもので、「学習は学習だ」という評価を下しがちになりませんか。

でも、「学習は学習で、やっただけ伸びる」という考え方ではなく、「学習面を伸ばすために、その子の考えのクセを踏まえて、どう教えていくか」という考え方になると、指導や見守りが、より効果的なものになると考えています。

たとえば。

・一度にたくさんの情報が与えられると、処理しきれなくなって、考えが止まったり、あるいは途中の過程をスキップして結論を急いでしまったりする。
・できないこと、負けることを認めたくない性格をしているので、なんとか「大丈夫」なふりをしてしまう。
・人の顔色をよく伺う性格をしているので、質問をしたり助けを借りたりするときに必要以上に気を使ってしまい、疲れてしまう。

など。

忙しい現代人からこそ、ひと息入れて「もしかして」


みんななにかと忙しい中で暮らしているので、つい「勉強したの?」「やらないと〇〇させないよ」という声がけになりがちで、性格のことも「わかっているけど、今はそういうことを言っている場合ではない」の繰り返しで、考えていることも薄れてしまったりするのも無理もないことだと思います。

しかし、だからこそ、時々「ちょっと待てよ」と自分自身に問いかけることも、大人には必要かもしれません。これは子育てだけではなく、大人が自分自身としてタイムマネジメントをしたり、思考の整理をしたりする上で、最初に必要となることではないでしょうか。

注意したり行動を促したりするときに、一息入れて、「もしかして、見落としていることはないか」

時々、その意識が持てるようになると良いかもしれませんね。

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専門家

髙橋慎吾(塾講師)

共生舎

地域や学年、習熟度の垣根を超えた生徒が同じ教室に集い、個々の特性を尊重しながら学びを深める、インクルーシブ教育を実践する。

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