プロを名乗るエセ掃除屋 ~レンジフード清掃を「プロ」に任せる危険~【前編】
【エアコン編①】
プロを名乗るエセ掃除屋
~掃除する前に、エアコンを壊しました~
世の中にはビギナー掃除屋があふれている!
名刺に「プロ」と書くのは簡単です。
本当にプロかどうかは、別の話です。
――――――――――――――――
エアコンクリーニングというと、
洗剤をかけて、高圧洗浄機でジャーッと洗う。
そんなイメージを持っている方も多いと思います。
でも実際は、
洗う前に、結構やることがあります。
まず電源を切る。
前面パネルを開ける。
フィルターを外す。
そのあと、本体の外装カバーをガバッと外します。
すると、中に銀色の細かい板がズラーッと並んでいる部分が見えてきます。
これが熱交換器。
アルミフィンとも呼ばれる部分です。
人間で言ったら内臓。
魚で言ったらエラ。
まあ、そんな感じです。
ここまで出して、ようやく本格的な洗浄ができる状態になります。
でも、まだ洗いません。
エアコンの吹出口には、風向きを変える板が付いています。
ウィーン……
と上下に動く、あれです。
ルーバー。
機種によって1枚だったり、2枚だったりします。
さらに、その周辺にも小さな部品があります。
洗浄の邪魔になるものは、構造を確認しながら外していく。
そして、エアコンの右側にあることが多い基板などの電装部。
ここに水が入ったら大変です。
タオル。
ビニール。
マスキングテープ。
きっちり養生する。
最後に、洗った汚水を受けるためのエアコン洗浄カバーをかける。
ここまでやって、
ようやく、
「じゃあ洗いましょうか」
になるわけです。
――――――――――――――――
この分解作業の中で、私が今でも一番慎重になるものがあります。
それが、
ルーバーです。
これ、外し方が結構原始的なんですよ。
小さなプラスチックの軸や突起で本体にはまっている。
機種によって外し方は違いますが、ルーバー自体を少したわませながら外すタイプもある。
つまり、
プラスチックの板を少し曲げながら外す。
怖いでしょう?
実際、怖いんです。
少し力をかける。
軸を抜く。
真ん中の支えを外す。
反対側も外す。
このとき無理をすると、
パキッ。
といきます。
ルーバーそのものが真ん中から割れることもありますが、それより怖いのが、
本体とルーバーをつないでいる小さな突起。
ここが折れる。
小さい部品なんですが、折れたらルーバーが正常に動かなくなることがあります。
――――――――――――――――
掃除屋を始めたばかりの頃。
私は、この危険性を知っていました。
フランチャイズの研修でも習っています。
古いエアコンはプラスチックが劣化していることがある。
少し力をかけただけで割れることもある。
だから作業前には、お客様にも説明していました。
そこまでは良かった。
その日もいつも通り、
フィルターを外す。
カバーを外す。
順番に分解していく。
そしてルーバー。
ここは慎重に。
分かってます。
一番気をつけなきゃいけない場所だということも、分かってます。
なのに。
その日に限って、
ちょっと急いだ。
本当に、ちょっとです。
そして、
パキッ。
…………。
嫌な音って、
小さくても聞こえるんですよね。
見たら、
ルーバーを固定している部分の突起が割れていました。
やりました。
エアコンをきれいにしに来た掃除屋が、
まだ掃除もしていないのに、エアコンを壊しました。
知らなかったわけじゃない。
一番危ない場所だと知っていた。
それでも、
急いだ。
だから壊した。
レンジフードの失敗は、
知らなかった。
今回の失敗は違います。
知っていたのに、やった。
ある意味、こっちの方がタチが悪い。
さて。
壊してしまったエアコンを、そのあと私はどうしたのか。
そして後日、
もっとゾッとするエアコンに出会います。
すでにルーバーが割れていて、アロンアルファのようなものでくっつけてあったんです。
しかも、
お客様はそのことを知りませんでした。
――後編へ続きます。
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