FPが語るビットコイン投資──“持たないリスク”とどう向き合うか?

吉井徹

吉井徹

テーマ:投資・資産形成

ビットコインって、結局どうなの?


「ビットコインって、結局どうなんですか?」

ここ数年、私が経営者や個人投資家の方と話していてよく出る質問です。
急騰してニュースを賑わせたかと思えば、翌年には半値以下になっている──。
そんな極端な値動きを繰り返すビットコインは、関心を持ちながらも手を出せずにいる方も多いでしょう。

私自身、数年前から少額ずつ積立を始め、今も毎月コツコツと保有量を増やしています。
このコラムでは、「なぜ今、“持たないリスク”にも目を向けるべきなのか」という視点から、FPとしての考えをお伝えします。


① ビットコインとは何か?──“通貨”ではなく“デジタル資産




ビットコインは、2009年に誕生した世界初の暗号資産(仮想通貨)です。
特徴的なのは、国や中央銀行といった管理者が存在せず、ブロックチェーンという仕組みで世界中のネットワークによって運営されている点です。

発行上限は2,100万枚と決まっており、それ以上は絶対に増えません。
この「希少性」が、金(ゴールド)と似た価値保存の機能を生み出しています。

また、インターネット環境さえあれば24時間365日取引でき、国境を越えて瞬時に送金できる利便性も大きな魅力です。世界的なインフレや通貨不安が高まると、代替資産として注目される背景もここにあります。

さらに現在、ビットコインは時価総額で世界6位前後(約2.34兆ドル)。 金やAppleなどに次ぐ規模の「トップ資産」の一角を占める存在になっています。 もはや資産として無視できない存在になっています。

② ビットコインの「3つの魅力」──なぜ多くの人が保有するの


1.インフレヘッジ
発行枚数に上限があるため、紙幣のように無制限に発行されて価値が薄まるリスクが低い。
2.取引の自由度
土日や祝日も関係なく、世界中どこからでも送受金が可能。海外送金の手間やコストを大幅に削減できる。
3.長期的な成長性
誕生から15年、価格は長期的には右肩上がり。2010年に1BTC=数円だったものが、2025年現在では1700万円台にまで成長しました。

もちろん、この過程で何度も50%以上の急落を経験していることも忘れてはいけません。

③ とはいえ、リスクは大きい──価格変動とセキュリティ


ビットコインは魅力的な一方、非常に値動きが激しい(ボラティリティが高い)資産です。
短期間で価値が半分になることも珍しくありません。

さらに、保有方法によっては取引所の破綻やハッキングといったリスクも存在します。
このため、ビットコインは全資産のごく一部──目安として資産全体の5%以内──に留めるのが賢明です。

投資においては「ゼロになっても生活に支障がない金額」で始めることが鉄則です。

もちろん、暗号資産についてしっかり学び、将来性があると強く感じているのであれば自己責任で保有率を増やすのはアリです。

④ FPが実践する“付き合い方”──積立&レンディング活用




私が実践しているのは、毎月1万円程度の積立購入です。
購入したビットコインは、信頼できる事業者のレンディングサービスに預け、年利約8%で運用しています(ビットレンディングを利用中)。

この運用スタンスは「上がったらラッキー、最悪ゼロになってもOK」。
資産全体の三分法(安全資産・成長資産・リスク資産)のうち、リスク資産の一部として位置づけています。

重要なのは、一攫千金を狙うのではなく、コツコツと小さく積み立てていくこと。
これにより、価格変動の影響を平均化できます。

⑤ ビットコインの今後──国や企業も注目する存在に


最近では、国家や大企業によるビットコイン活用も広がっています。
エルサルバドルが法定通貨として採用したことは有名ですし、米国ではビットコイン現物ETFが承認され、機関投資家の参入も進んでいます。

また、米上場企業マイクロストラテジーは企業資産として数十万BTCを保有。
こうした動きにより、ビットコインは金や株式と同じ「一つの資産クラス」としての地位を確立しつつあります。

さらに、NFTやDeFi、AIとの融合など、ビットコインはブロックチェーン活用の入り口として、将来の経済インフラと関わる可能性も高まっています。

おわりに──“知らないリスク”に気づくことが第一歩




私は「今すぐ全員がビットコインを買うべき」とは思っていません。
ただし、存在を知らずに避け続けることは、将来の資産形成において機会損失になる可能性があります。

特に経営者の方は、法人資産や個人資産の分散投資を考える上で、暗号資産をどう位置づけるかを一度検討してみる価値があります。

かつてのように「投機商品」から「投資商品」としての位置づけになりつつあるのではないでしょうか。

「知っていてやらない」のと「知らずにやらない」のでは、結果が大きく異なります。
まずは少額から、そして情報を取り入れながら、ビットコインとの距離感を見つけてみてはいかがでしょうか。



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吉井徹
専門家

吉井徹(ファイナンシャルプランナー)

株式会社グッドウェル

会社財務と経営者の個人資産を両輪で考え、企業の発展と理想の人生をかなえるお金の仕組みづくりをサポートする「法人顧問FPサービス」を提供。中小企業オーナー経営者のお金の悩みに寄り添い、解消へと導きます。

吉井徹プロは中国新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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