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コラム

相続登記を自分でやってわかったメリット・デメリット

2021年3月26日

テーマ:相続

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 不動産相続 手続き相続 手続き土地登記 変更

相続登記は自分でもできるけど簡単ではない


不動産

2019年に父が亡くなって、不動産を相続したので自分で相続登記をやってみました。

私はFPで特に資産形成、資産運用のアドバイスを得意としています。
FPは社会保険、生命保険、金融、税金、不動産、相続など幅広い知識を持っています。
しかし税金や不動産の「専門家」ではありません(もちろん得意なFPもいらっしゃいます)。

だからといって
「私はFPなので相続登記なんてさっぱりわかりません」
というわけにもいかないので、実際に自分でやってみることにしたのです。

結論は
「決して簡単ではない」
「時間と手間がかかる」
ということです。

こんな人には自分で相続登記は向いていない


人混み

なんでもネットで情報が手に入る時代です。
と言っても説明している文章をじっくり読むのも大変です。

自分で相続登記するのが向いていない人は
・仕事が忙しい
・相続人が多い、または複雑
・金銭的に余裕がある
こんな人は専門家である司法書士に依頼したほうがいいです。

費用はかかりますけど、平日の昼間に数回法務局に行かなければなりませんし、必要書類を集めたり作成しなければならないからです。

手間と時間を考えたら、確実に仕事をしてくれる専門家に依頼する費用なんて安いからです。

司法書士に相続登記を依頼する場合、最低でも10万円前後かかります。
相続が複雑であったり、複数の不動産があったり、固定資産税評価額が高額であると、もっと費用がかかります。

「え?そんなにかかるの?じゃあ自分でやろうかな」
しかし登記でミスをすると大きな損失になるリスクもあります。

自分で相続登記をするならそこを十分理解してから行ってください。

必要書類


書類

さて、自分で相続登記をするのに必要な書類を集めなければなりません。

法務局ホームページを見てみると
不動産の所有者が亡くなった(法務局)
ここでは必要書類がわかりませんし、とてもこの内容で一般人ができそうもありません(汗)

法務局に相談に行ったときにもらった資料には一覧表になっていました。

①被相続人(なくなられた方)の住民票除票(本籍記載)又は戸籍の附票
②被相続人(なくなられた方)の戸籍謄本
③法定相続人全員の戸籍謄・抄本
④住所証明書(住民票)
⑤相続関係説明図
⑥固定資産評価額証明書
⑦登録免許税
⑧登記申請書

もういきなり「うわぁ」って思いますよね(笑)

私の場合は遺産分割(父の不動産を私が相続)するので
⑨遺産分割協議書
⑩遺産分割協議をした全員の印鑑証明書
も必要でした。

⑤⑧⑨はネットでフォーマットをダウンロードすれば作成はそこまで難しくないはずです(もちろん相続が複雑でない場合)。

私の場合は母と姉に③⑩を取ってもらい、自分は③④⑥⑩を取りました。

①②は母が別の手続きで持っていたので①〜⑩を持って法務局へ行きました。

登記手続案内の利用は無料


相談

書類をそろえて、早速提出。
と言いたいところですけど、慣れないことで初めてですからきっと不備があるはず。
そこで『登記手続案内』を利用しました。
登記手続案内は各地法務局の支局で、司法書士が申請書類の書き方などを説明してくれます。
事前予約制で利用時間は20分、無料です。

自分で作った申請書類を見てもらうと、やはりいくつか修正しなければならない箇所がありました。
ただ登記相談は事前審査という位置づけではありません。

登記相談ですべてが解決してしまっては、司法書士の仕事が減ってしまいますからね。

無愛想とは言いませんが、親切丁寧という印象ではありませんでしたね(汗)
もちろん無料で書類の修正箇所を教えていただいて感謝です。

登録免許税の計算方法


計算

⑦の登録免許税は相続登記手続きに行ったときに、法務局で収入印紙を買うことができます。

私が相続した不動産の1つは、父の持分が1/8でした。
課税価額が1,000万円だとしたら
1000万円 × 1/8 = 125万円(1,000円未満は切捨)

税率は分割による移転は1000分の4です。
125万円 × 4/1000 = 5,000円(100円未満は切捨)

よってこの場合は5,000円の収入印紙を登記申請書に貼り付けます。

課税価額は「固定資産税課税標準額」 ではないので注意です。

生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本?


疑問

なんとか一通り必要書類をそろえて法務局に提出です。
すると
「被相続人(なくなられた方)の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本がないですね」
ん?
それって普通の戸籍謄本じゃダメなの?

自宅に帰って調べると、戸籍謄本、改製原戸籍謄本、除籍謄本の全ての戸籍を集める必要があると。
恥ずかしながら知りませんでした。

これは亡くなった人の相続人を確認するためで、婚姻、離婚、養子縁組などは生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を調べなければならないからです。

これを集めるのが人によっては大変とのこと。
少ない人でも4部、多い人は10部以上にもなるとか。

父の本籍地が奈良市だったのでHPの『戸籍関係証明書 交付申請方法(郵送)』を読んだ上で電話で確認しました。

申請書の書き方、チェックを入れておく箇所、定額小為替の金額などを親切に教えてくれました。

申請書を送って数日後、無事に届きました。
結果的に父の戸籍謄本は最少の4部ですみました。

人によっては〇〇市だけでそろわず、〇〇市に申請し、さらに〇〇市に申請ということもめずらしくないようです。

ということで無事に提出


達成

先日、無事に提出してきました。
ここまで法務局に4回行きました。
不備があれば連絡があり再度法務局に行かなければいけませんし、完了しても受領書類をもらいに行かなければなりません。

なので
・仕事が忙しい
・相続人が多い、または複雑
・金銭的に余裕がある
という人は専門家である司法書士に報酬を支払ってお願いしましょう。

はっきり言って簡単ではありません。
私はFPという立場上、経験しておくべきと考えてやってみました。
たしかに報酬費用(10万円前後)の節約になりますけど、その労力を考えれば普通の人はしっかり自分の仕事でしっかり稼いだほうがいいです。

普通の人は相続登記するのは人生で1,2回ですからね。

ちなみに私、あと2つの不動産の相続登記があります。
まぁ1つクリアすれば、あとはやることは同じなので大丈夫であろうと考えています。

念の為に言っておくと、私はFPなので相続登記を代行することはできません。
お住まいの地域の司法書士やネットで司法書士を探して相談しましょう。

この記事を書いたプロ

吉井徹

投資歴10年以上、ファイナンシャル・プランニングのプロ

吉井徹(YOC)

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