つくるのではなく ととのえる ― 設計のあり方 ―

家は、どんな素材でできているのか。
普段はあまり意識されないことかもしれません。
けれど少し視点を変えてみると、
現代の住まいは多くの素材に支えられていることに気づきます。
たとえば外壁の下には、雨を防ぐための防水シートがあり、
断熱のためにウレタンや発泡系の素材が使われています。
床や壁の仕上げにも、ビニールクロスや合板など、
均一で扱いやすい材料が多く使われています。
時代が、そうさせたのだと思います。
手をかけなくてもいいもの。
すぐに取り替えられるもの。
掃除が楽なもの。
暮らしの中に、それ以外にすることが増えていった時代。
家もまた、その流れの中でかたちを変えてきました。
その中には、石油から生まれた素材も多く含まれています。
防水や断熱といった性能を支えるために、
とても重要な役割を果たしてきました。
ほんの少し前まで、
それらに頼らない家は、特別なものではありませんでした。
木の柱と梁で組まれ、
土壁や漆喰で湿気を調整し、
紙の障子で光をやわらかく取り入れる。
手をかけながら、直しながら、
長く使い続ける住まいがありました。
どちらが良いということではなく、
ただ、そうした選び方もあったということ。
そして今も、
その選択は、私たちの手の中に残っているように思います。
すべてを自然素材にするのではなく、
たとえば雨にさらされる部分にはしっかりとした防水を施し、
断熱も必要な分だけ取り入れる。
一方で、床や壁など日々触れる場所には、
無垢の木や塗り壁といった素材を選ぶ。
そうした使い分けも、ひとつの考え方です。
見えないところで性能を支えながら、
触れる場所には、自然の素材を選ぶこと。
その積み重ねが、
これからの住まいを少しずつ変えていくのかもしれません。
家は、時代に合わせて変わってきたものだからこそ、
これからもまた、選び直すことができるのだと思います。


