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歴史を学ぶ意義 過去→現在→未来?

今枝仁

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数日前に、中根弁護士より、「歴史は繰り返すか?」という投稿がありました。

 私は、歴史を学ぶ必要性が高いという結論において中根弁護士に賛成しますが、それが未来を予測することにつながるからであるという理由においては、異議があります。
 
 もちろん、過去の歴史を検討することで、未来を予測できる面があること自体は、否定しません。
 
 しかし、歴史を学ぶことの理由と意義は、現代の社会の成り立ちや、人間の行動様式などを、本質的に理解することに資するという面にあると思います。
 その先に、未来予測があるのかもしれませんが。

 例えば、法律や政治の世界、とりわけ領土問題などは、歴史認識と切り離せません。
 なぜ尖閣諸島が問題なのか、北方領土が帰ってこないのか。どうすれば日本の領土として確保できるのか。

 自衛隊や、安保条約による米軍駐留の問題も、歴史的理由抜きには考えられません。

 また、どのようにして立法、行政、司法の三権が分立して、民主主義と自由主義がどういう関係にあるのかは、現代社会の成り立ちと密接に関係しています。
 なぜ、憲法というものが生じたのか。
 なぜ、国民の代表からなる立法府で法律を作ることになったのか。

 歴史的には、まず王権に対するブルジョアの権利として国家からの自由権としての「自由主義」が生じ、さらに労働者等の一般市民の権利として国家へ加わる参政権等の「民主主義」が生じたという経緯があります。

 このような背景から、自由主義と民主主義、その権利を獲得した社会的階層との関係が、今でも自民党と民主党の支持基盤に共通する面があります。

 
 さらに極端なことを言えば、現行の法律自体、歴史の経緯の中で必要性が生じて制定、改正されてきたでしょうし、社会事情の変更に伴い、判例変更もされてきたので、法律や判例の解釈にも歴史的認識が必要な場合があります。

 もっともこの場合、現在問題になっている事案で、どのような判決が出そうか予測するという意味では、未来予測に直結しているかもしれません。


 ・・・そう考えてみると、弁護士の仕事は、比較的に、歴史(過去の事象)の分析を未来予測に結び付けることが多い分野ですネ、中根先生。

 しかし、「2度あることは、3度ある」と考えるのか、「3度目の正直」と考えるのかは、人間の英知次第と思います。

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今枝仁
専門家

今枝仁(弁護士)

今枝仁法律事務所

今枝仁は、東京地方裁判所刑事部事務官、東京地方検察庁検事、弁護士となってからも公益社団法人広島被害者支援センターの監事を務めており、いろいろな角度から数多くの事件や当事者を見てきました。

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