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『創業時・新規事業の値決めについて』 …自社が小規模企業であることを自覚しましょう。

石田雄二

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テーマ:経営

先日、あるベンチャー企業の新規事業プレゼンをお聞きしまし
た。今回取り組みを検討している新規事業は、既に世の中にあ
るサービスを、より良いやり方に変えて提供するというもので、
ある大手企業のサービスと比較しながら、自社のサービスを大
変分かりやすく解説してくださいました。

その社長様は、大手企業のサービスは、効果が低いにも関わら
ず、営業力だけでシェアを伸ばしているという前提に立ち、自
社の新サービスは、ITを駆使することでより手厚いサービス
を提供できるため、大手のサービスよりも効果を出せるという
論調で説明していきます。説明のひとつひとつは理にかなって
おり、確かにこういうやり方をすれば効果は倍増するかもしれ
ないとポジティブに聞いていました。

プレゼンの最後は、いよいよ価格面を含めた収益の説明です。
期待して説明を聞いていたのですが、出てきた価格設定に少し
驚きました。社長様が設定した販売価格は大手企業の半額以下、
同社の利益に関しては1件あたり月額数千円です。あれだけ自
信を持って大手のサービスよりも良いものだと説明してきたの
に、なぜこんなに安い価格でサービスを提供しなくてはいけな
いのでしょうか。

社長様の回答は下記です。
1.価格が安い方がスケールしやすい。
2.ITを使っているのでこの価格でも利益を出せる。
3.いくらなら買うかというアンケートの結果である。

様々な考え方があると思いますが、「安ければ売れる。」「高
ければ売れない。」というのは妄想だと感じます。まずは、
「効果がある。」というのが重要なポイントであり、効果がな
ければ「無料」でも売れません。逆に明確な効果があれば「高
値」でも売れます。彼らの説明によると、大手企業よりも「効
果のある」サービスを開発したのですから、それが本当であれ
ば、大手企業より安くする必要はありません。むしろ高くすべ
きだと感じます。

次にITを使っているため利益を出せるという点です。計画上
の数年後の営業利益を見てみると、確かに10%程度の利益が
出ています。しかし10%が本当に適正な利益でしょうか?大
手企業はテレビCMも流していますが、同社はテレビCMを流
せるほどの広告費を見積もっていません。また、改良の余地が
ない完成品を最初からリリースできる可能性は低いにも関わら
ず、改良を継続的に行うための予算も見積もっていません。も
っと利益を高く取って、サービスの進化発展に費やせる予算を
しっかりと確保しなければ、すぐに競争力を失ってしまいます。

最後にアンケートを取ったとありますが、大手企業は実際に倍
の価格で数万人の顧客を有しています。これから参入しようと
する市場の規模をあえて縮小させる必要があるのか疑問です。

マーケットの一定シェアを獲得しなければ黒字転換できない低
価格戦略は、一般的な創業者が手に出来る数百万円から数千万
円の資金で実現するのは大変困難です。マーケットの一定シェ
アを獲得するためには莫大な資金が必要です。

資金はないが固定費も小さな小規模企業は、大企業に比べると
極めて小さな売上で黒字転換をすることができます。多額の広
告費を費やし、大量販売をして市場シェアを獲得するという大
企業の戦略ではなく、小さな売上でも黒字転換しやすい高粗利
のビジネスモデルでスタートすることをおすすめします。

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■お問い合わせ先
【 石田雄二税理士事務所 info@kaikeisanbo.com 】

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石田雄二(税理士)

石田雄二税理士事務所

単に安いだけでなく、創業後の会社の管理体制構築までサポートします。また、税理士だけでなく、社労士も在籍しているため、助成金の獲得支援を強みとしている点も好評です。

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