『創業時にしっかり考えていただきたいこと…』(その2)
◆1:新しい事業計画を立案する時には、今の事業立地に関す
る検証に時間を割いてください。
事業計画作成の要諦は、事業立地の見直しです。斜陽分野では
なく成長分野への事業立地の変更を検討してください。
○以下、高収益企業研究の第一人者でおられる三品和広教授の
言葉を引用します。
『…事業の根底には立地(誰に何を売るか)があり、その上に
構え(出荷するモノをいかに入手して顧客に届けるか)、製品
(いかに個別製品を魅力的に仕立てるか)、管理(いかに品質
・原価・納期を守るか)が重層構造を成している。…中期経営
計画などで立地や構えに手をつけることなく、製品の刷新や管
理の強化を打ち出している企業は数多くあるが、この次元で動
きだしたところで、高収益への転換に結び付いた事例はほとん
どない。…』 〔三品和広教授(高収益企業研究の第一人者)〕
◎事業計画を作成することは、事業立地を検証し見直すことで
す。過去の流れをそのまま踏襲することを事業計画と呼び、そ
れを繰り返していると事業の革新は生まれません。何十年も同
じ事業立地にとどまって、ジリ貧に陥るのはこのケースです。
過去の流れに沿った体裁の良い数値計画を事業計画と呼ぶのは
止めましょう。
◆2:事業計画は、過去からの流れをそのまま維持する保守的
な計画でない限り、その予測は難解であって、その多くは計画
通りに進捗しません。
多くのクリエイティブな計画の成功事例は、後に理論武装され
て解説を加えられています。後付けです。保守的な計画でない
限り、事業の正確な予測はできない前提で、事業を執行してく
ださい。クリエイティブな計画を鵜呑みにすることは大変危険
です。
『現実的には、ある程度先を考えておきながら適時対応してい
くことになるだろう。実現された戦略は最初から明確に意図し
たものではなく、行動の一つひとつが集積され、その都度学習
する過程で戦略の一貫性やパターンが形成される。』
※マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院にて1965年に
経営学修士及び1968年に博士を取得された異色の経営学者と呼
ばれるヘンリー・ミンツバーク博士の言葉を引用しました。
◆3:事業計画作成時の注意点!
・事業計画は、そのアイデアが斬新で素晴らしいほど予測が難
しい!
・事業計画は、起点の認識と終点のイメージ化が重要。プロセ
スは都度計りながら進める!
・作成した事業計画を鵜呑みにしてはいけない。脱・前のめり!
◆4:事業計画作成の要諦!
・事業立地の確認・選定…どんな事業を!
・収益モデルの創造(ビジネスの型の確定)…どのような形で!
・起点(現状)を認識する!…力相応を知る!
・(仮)のゴールのイメージ化…目指すゴールは!
・起点からゴールまでの道筋を仮決めする!
上記を踏まえた上で、
・全体を包括する整合性の取れた数値計画の立案!
・数値計画と資金計画との整合性の確認!
・マネージメント体制の整備!
・日々修正しながら現実的に対応する!
◆5:事業計画執行時の注意事項(追記)!
・コントロールできることを完全にコントロールすること。
・頑張ればコントロールできることをできるだけコントロール
すること。
・コントロールできないことには、出来るだけ適合すること。
・コントロールできることをコントロールしない、これは放漫
経営です。
・頑張ればコントロールできることをコントロールしない、こ
れは怠慢経営です。
・そして、コントロールできないことまでコントロールしよう
とする、これは独りよがり経営です。
自社の明るい未来のために、真の事業計画を作成しましょう。
過去の流れに沿った体裁の良い数値計画を事業計画と呼ぶのは
止めましょう。これは事業計画ではなく、進捗管理計画です。
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