マイベストプロ広島

コラム

リスケ中の資金調達について

2017年2月15日

テーマ:銀行融資・補助金

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 資金調達 方法

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『リスケ中の資金調達について』
…別の銀行に全額肩代わりと新規融資を依頼するのが得策です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

リスケジュール中は、原則新規融資を受けることができません
ので、新規融資を受けるためには、一旦リスケジュールを解消
する必要があります。

ひとつの方法として、新しい借入でリスケジュールをしている
借入を一括完済するという方法がありますが、新しい借入れを
申し込む金融機関は、今現在リスケジュールを依頼している金
融機関ではなく、別の金融機関に依頼するのが得策です。最近
取り組んだ事例をご紹介します。

■A社の事例

【借換え前】
・X銀行より約1.5億円の借入
・リスケジュールにより毎月50万円の返済

【借換え後】
・Y銀行にて1.5億円肩代わり+新規融資2,000万円を実行
・毎月返済額117万円

A社は数年前からリスケジュールをしていますが、足元の業績
が回復し、年間1,000万円程度の返済が可能な状況になりまし
た。また、受注の幅を拡げるために新たな人材を雇用したいと
考えており、資金調達が必要になったことも、正常化に踏み切
った要因です。

当初A社の社長様は、長年お付き合いのあったX銀行から新規
融資を受けたいと考えていました。しかし、X銀行の答えは、
「まずは返済を正常化して欲しい。新規融資は正常化して数か
月間様子を見た後に検討したい。」というものだったようです。
正常化を行う目的は新規融資を受けることですので、もし融資
を受けられなかった場合は、「正常化して返済額が増えただけ。」
となってしまいます。社長様は思い悩んで弊所にご相談に来ら
れました。

リスケジュールとは、元々の約束通りに返済ができていない状
況です。銀行は約束を守ってくれなかった相手に対して、追い
貸しをすることは非常に慎重になりますので、X銀行の対応は
至極当然です。

ただ、おかしな話ですが、X銀行ではすぐに新規融資を検討す
ることができなくても、X銀行以外の銀行だったらすぐに新規
融資を検討することができます。他行から見れば、リスケ先で
はなく、単なる新規先であるためです。これまでの経緯は関係
なく、純粋に今後1.5億円+αの返済が可能と判断できれば、
融資を実行することができます。

弊所にてお付き合いのあるY銀行に相談したところ、事例でご
紹介した通り、15年返済の新規融資で1.5億円の肩代わりと、
2,000万円の新規融資を実行してもらえました。さらに、返済
を正常化したことで、日本政策金融公庫からも1,000万円の追
加融資を受けることができました。

誤解のないように説明しますと、X銀行の対応が悪かったとい
うことではありません。X銀行から見れば、A社はリスケジュ
ール中の要注意先であり、一方、Y銀行から見ればA社は1.7
億円の新規見込み先です。対応が違うのは当然のことです。

金融機関にとって、リスケジュールがある先に正常化と同時に
新規融資を行うことは大変困難なことです。いたずらに銀行同
士の借り換え合戦をあおるつもりはありませんが、正常化と同
時に資金調達を行う場合は、自社を魅力的な新規見込み先と捉
えてくれる別の銀行に相談するのが得策です。

この記事を書いたプロ

石田雄二

会社設立と銀行融資のプロ

石田雄二(石田雄二税理士事務所)

Share

関連するコラム

石田雄二プロのコンテンツ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ広島
  3. 広島のビジネス
  4. 広島の税務会計・財務
  5. 石田雄二
  6. コラム一覧
  7. リスケ中の資金調達について

© My Best Pro