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愛着について ~保育の現場でできること~

古元邦子

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テーマ:こころの成長とつまずき

この10年間、毎月訪問支援をしている保育所で、「愛着について」の研修講師の依頼を受けた。この春NHKの番組でも、愛着についてのプログラムが紹介されていたのを観た。過去10年間の研修は、発達障害の子どもにどう対応したら良いかというテーマでの依頼が多かった。子どもの「問題」を特定して、問題への「対処法」を身につける学習理論をベースにした捉え方である。それが「愛着」つまり子どもと大人の双方向の関係性にも関心が向けられるようになってきたということだろうか?
 とはいえ、ボウルビー(精神分析医)の愛着理論は1961年に既に提唱されていて、日本での臨床心理の分野では、安定した1対1の関わりの経験を基盤にした継続的な心理療法を細々と続けてきた。そこでは長い時間かけて根気強い相互の関わりが求められる。その1対1の関係に集中する中で生まれてくるものを目指している。
 そもそもボウルビーの愛着理論が提唱された背景には、20世紀初めの乳児院で過ごす乳児の死亡率が高く、子どもは栄養管理だけでは育たないこと、大人から暖かく触れられることが不可欠だという実践による気づきがあった。身体的なホスピタリズムから、心理学的な問題への移行であった。

 こうして今「愛着」についての研修を求められるのは、できる対処をやり尽くし、めぐりめぐって「人と人との関わり、ふれ合いの重要性」「こころの成長」に再び関心が寄せられるようになってきたということだろうか。私自身が、17年間の病院臨床を離れて私設相談室を開室し、保育の現場に足を運美続けているのも、その底で同じ流れを共有しているのかもしれない。愛着について、まさに愛着を形成しつつある子どもたちと関わる保育者と、保育の現場でできることを一緒に見つけていく力になりたい。

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古元邦子(公認心理師)

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完全予約制で秘密が守られる場所です。ぐるぐる頭の中で考えていること、どうしていいのかわからないこと、人には言いにくいことも、あなたの気持ちを尊重しながら丁寧に話し合います。

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