雪の中、保育所を訪問しました
養老孟司さんの広島講演会に参加しました。客観的なデータの蓄積から冷静にものごとを見る視点、世の中で起きていることに常に疑問を持って考え続ける姿勢を貫いてこられて、87才になられた今「理屈ではないんです」という言葉が重石のように腹の底に沈みました。受け入れがたいことも、厳しい現実もそのまま見つめ、真摯に考え抜いてこられた末のことばだからです。
AI(人工知能)の得意なことは、一定の手順に従った計算だということ。速く正確に答えを出すことに、人間はかなわないのです。人は、感情と感覚、身体を持って生まれてきているので、ミスをします。気持ちが高ぶっていると、冷静な判断ができなくなるのが人間です。恋は盲目と言うように、恋愛をしているときは冷静に考えることができません。しかし、愛の力や信念で何かを成し遂げるのも、真実です。そこから生まれてくるストーリーに私たちは感動し、心が揺さぶられるのです。
絵を描くこと、躍ることなどの芸術、夢を見ること、命を繋いで生きることは、人類が古代から途切れることなく続けている営みです。AIのおかげで、便利な社会にもなっていてその恩恵も受けているのだけれど、その一方で私たちの内側から出てくるものを表現すること、共有することの価値にも気づいていたいですね。