おかえりなさい、気を付けて
第1回 原点 ―― 父の背中から受け継いだ「家」に、新しい名前を
こんにちは。深健工舎の一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜です。
「おかえりなさい、気を付けて」。 今の私が住宅の話をするとき、真っ先に浮かぶ言葉です。この言葉の意味をお伝えするため、全5回のお話をさせてください。
今回が、初めてのコラム掲載になります。私自身が家づくりに対する考え方が変わったきっかけの話をさせていただきます。内容がまとまらなかったので、全5回に分けて掲載させていただきます。少しでも興味があればお付き合いいただければ幸いです。
深健工舎は、群馬県前橋市を中心に、自然素材を使った高気密・高断熱・高耐震の健康住宅を、新築・リノベーション・リフォーム工事で手掛ける、設計事務所併設の大工工務店です。
私の家業の始まりは、父の背中でした。実家の敷地内にある作業場で木材を刻んだり、加工している姿を小さい頃から見ていました。木の香り、鉋(かんな)が削る音、杉の肌理(きめ)。そこは私にとって遊び場であり、将来の仕事場の原風景でした。
父は1972年にこの地で深澤建設を立ち上げました。以来、半世紀近く、地域のお客様の家づくりに携わってきました。私は地元の夜学、前橋工科短期大学を卒業後、父の紹介で知り合いの工務店で修業を積みました。修業を終えてからは、少しでもお客様のお役に立てるならと、仕事終わりの夜や休日に学校へ通い、設計と施工の現場でちょうど中堅どころになったころ、建築大工一級技能士、そして一級建築士の資格を取り、仕事に励む日々が始まりました。
そして2025年1月、父から引き継いだ深澤建設を、気持ちを新たにして再スタートさせるため、社名を「深健工舎」へ変更しました。「深」は深呼吸できるから、「健」は健康な家を造るから、「工舎」は現場を持ち、職人と設計者が一緒になって真剣に家づくりに向かう場所、という思いを込めています。
社名を変えたきっかけは、2024年に半年間受講したブランディング道場でした。同じく家づくりに向き合う工務店や設計士の方々と横のつながりができ、「自分の基準を持つこと」「自社の強みを生かしたオリジナルの住宅を造ること」を学びました。この道場との出会いが、私の家づくりへの考え方を大きく変えるきっかけになったことは、第4回で詳しくお話しします。
まずは第2回。2017年、私の価値観を揺るがし、今の深健工舎の基準づくりの原点になった「ある展示場での衝撃」から始めます。


