第1回 住宅省エネキャンペーン2026 全3回
締切は12月31日。ただし予算で先に終わります|逆算すると、契約は10月中
深健工舎の一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜です。群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市、玉村町、高崎市、渋川市、北群馬郡で、自然素材を使った高気密・高断熱・高耐震の健康な家を手掛けています。
前回は、住宅省エネ2026キャンペーンの全体像と、国がこれだけの予算を住宅に投じる理由を書きました。今回は、期限の話です。ここがいちばん実務的で、いちばん間違えやすいところです。
締切は2つ、ただし本当の締切は3つ目にある
窓の補助金として一番使われている「先進的窓リノベ2026事業」を例にとります。公式に示されている期日は、次のとおりです。
対象工事の着手:2025年11月28日以降に着手したもの
交付申請の予約:遅くとも2026年11月16日まで
交付申請の受付:遅くとも2026年12月31日まで
ここまでは、どのサイトにも書いてあります。問題はこの先です。
公式サイトには、どの期日にも「予算上限に達した場合は当該時点まで」と明記されています。つまり日付より先に、予算で締まりうるということです。
これが3つ目の、そして本当の締切です。「12月31日まで大丈夫」と考えていると、11月には受付が終わっていた、ということが起こります。予算による早期終了は、これまでの窓リノベ事業でも実際に起きてきました。
今どれだけ使われているか
各事業の公式サイトは、予算の消化状況を毎日公表しています。2026年9月23日午前0時時点の数字を並べます。
先進的窓リノベ2026事業:約25%
給湯省エネ2026事業:約45%
みらいエコ住宅2026事業(新築・GX志向型住宅 第2期):約59%
みらいエコ住宅2026事業(新築・長期優良住宅/ZEH水準住宅 第2期):約33%
みらいエコ住宅2026事業(リフォーム):約7%
いずれも審査中を含む概算値です。この記事をお読みの時点では必ず変わっていますので、ご自身で今日の数字をご確認ください。
数字の読み方をひとつ。窓の25%が一番余裕があるように見えますが、窓は寒くなってから一気に動きます。給湯器は壊れたら待ったなしなので、季節に関係なく申請が出ていく。だから今の時点では給湯器のほうが進んでいます。窓の消化ペースが上がるのは、これからです。
個人的にはみらいエコ住宅2026事業(リフォーム)をもっと多くの方に使ったいただきたい。窓の改修や断熱改修と同時にキッチン、ユニットバス、トイレ、洗面化粧台、エアコンなどの設備交換や、介護リフォームや宅配ボックスの設置など組み合わせて使えるとても良い制度だと思っております。きっかけは窓の交換が先でも、設備交換でも構いません。組み合わせると補助金がもらえる制度があることを知って欲しいです。
そして新築のGX志向型住宅は、すでに59%です。新築をお考えの方は、この数字を軽く見ないでください。
逆算すると、契約は10月中
ここが、このコラムでいちばんお伝えしたいところです。
締切の日付だけ知っても、実は役に立ちません。工事は申請の日にできるわけではないからです。現場では、こういう順番で進みます。
1.現場調査。今の窓の枠の形、寸法、取り付ける奥行きがあるかを確認します。ここで初めて「この窓に内窓が付くか」が決まります。
2.製品の選定と見積もり。
性能のグレードと大きさで補助額が変わるので、どの製品を選ぶかは補助額の話と直結します。
3.ご契約。
4.製品の発注と納品待ち。ここが読みにくい。人気の建材は、寒くなるほど納期が延びます。
5.工事。内窓なら1か所1時間程度ですが、日程の確保は必要です。
6.交付申請(または予約)。登録事業者が手続きします。
この流れを11月16日の予約締切から逆算すると、現場調査とご契約は10月中というのが現実的なラインです。12月31日の申請締切から逆算しても、11月中には工事が終わっている形が安全です。そして繰り返しになりますが、予算はそれより先に尽きるかもしれません。
「まだ間に合いますか」というご質問には、こうお答えしています。今ご相談いただければ、ほぼ間に合います。11月に入ってからだと、製品次第です。
補助額は、いくらと書けません
「結局いくら戻るんですか」。これもよくいただく質問です。
窓の補助額は、設置する製品の性能(グレード)と大きさ、住宅の建て方に応じた、製品ごとの定額の合計
で決まります。「内窓1か所いくら」ではなく、「その窓に付けるその製品がいくら」という決まり方です。上限は住宅1戸あたり100万円で、合計の補助額が5万円以上になる工事が申請の対象です。
グレード別の単価表は公式サイトで公開されていますが、このコラムには数字を写しません。年度ごとに変わりますし、この記事が古くなったときに間違った数字が残るほうが困るからです。金額は、現地を見たうえで、その時点の条件でご提示します。
ひとつだけ、読み方を添えます。2026年度は上限額が前年の200万円から100万円に縮小されました。減ったと聞くと損した気になりますが、1軒あたりの金額は減っても、その分より多くの家に行き渡る設計だと考えられます。「大がかりにやる人が得をする制度」から「必要なところを直す人が使う制度」へ寄った、という見方です。脱衣所と浴室の小窓だけ、といった使い方をする方には、むしろ向いています。
「段取り八分、仕事二分」
昔の大工はそう言いました。家の仕事は、本当にそうです。
この制度でいちばん多い失敗は、工事が遅れることではありません。「まだ大丈夫だろう」と思っているうちに、動き出す時期を逃すことです。現場調査だけなら、その日のうちにできます。工事をするかどうかは、それから決めていただいて構いません。順番を決めておくだけで、選べる幅がまったく違います。
次回は、新築の話をします。みらいエコ住宅2026事業のGX志向型住宅とは何なのか、そして国が新築に求める水準が上がることが、今ある家にとって何を意味するのかを書きます。
一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜
深健工舎/大工工務店2代目・一級建築士
群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市・玉村町・高崎市・渋川市・北群馬郡で対応しています。
根拠のある提案と、誠実な対応をお約束します。
参考資料
・環境省|先進的窓リノベ2026事業(事業概要)
https://window-renovation2026.env.go.jp/about/
・国土交通省|みらいエコ住宅2026事業
https://mirai-eco2026.mlit.go.jp/
・経済産業省|給湯省エネ2026事業
https://kyutou-shoene2026.meti.go.jp/
・住宅省エネ2026キャンペーン(リフォーム)
https://jutaku-shoene2026.mlit.go.jp/about/reform.html
※予算執行状況は2026年9月23日午前0時時点の公式サイトの記載です。毎日更新されますので、最新は必ず公式サイトでご確認ください。


