第2回 住宅省エネキャンペーン2026 全3回
新築はGX志向型住宅へ|みらいエコ住宅2026と、今ある家に起きていること
深健工舎の一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜です。群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市、玉村町、高崎市、渋川市、北群馬郡で、自然素材を使った高気密・高断熱・高耐震の心地よい快適な家を手掛けています。
第1回は制度の全体像と国の狙い、第2回は締切と逆算の話を書きました。最終回は、新築です。
みらいエコ住宅2026事業と、そこから見える国の方向、そして今ある家にとってそれが何を意味するのかを書きます。
みらいエコ住宅2026事業は、新築とリフォームの両方を扱います
前々回にご紹介した4つの事業のうち、みらいエコ住宅2026事業(国土交通省)だけが、新築とリフォームの両方を対象にしています。
リフォームでは、床・壁・天井といった躯体(くたい。建物の骨組みと外側を構成する部分です)の断熱改修を含む、幅広い工事が対象です。原則として、平成28年12月31日以前に新築された住宅が対象になります。
そして新築では、対象になる住宅の類型が決まっています。
新築で対象になる3つの類型
GX志向型住宅――もっとも高い省エネ性能を求められる類型です。すべての世帯が対象
になります。
長期優良住宅――長く良好な状態で使えるよう、耐久性・維持管理・耐震性などの基準を満たした住宅です。若者夫婦世帯または子育て世帯に限り対象になります。
ZEH水準住宅――ZEH(ゼッチ。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス。省エネと創エネで年間のエネルギー収支をゼロ以下に近づける家)の水準を満たす住宅です。こちらも若者夫婦世帯または子育て世帯に限り対象になります。
ここに、国の意図がはっきり出ています。世帯を問わず全世帯に開いているのは、GX志向型住宅だけです。つまり国は、「一番性能の高いものを建てるなら、誰であっても支援する」と言っています。
新築の申請には期がありました。第1期が2026年3月31日から5月12日、第2期が5月13日から12月31日です。ただし注文住宅の新築のうちZEH水準住宅については、第2期の受付は2026年9月30日までとされています。期日が類型で違うので、新築をお考えの方はご自身の類型の期日を必ずご確認ください。
そして予算です。2026年9月23日午前0時時点で、GX志向型住宅の第2期が約59%、長期優良住宅・ZEH水準住宅の第2期が約33%消化されていました。数字は毎日更新されます。GX志向型住宅は、すでに6割近くまで来ています。
もう一点、注意していただきたいことがあります。GX志向型住宅を建てる事業者は「GX建築事業者」として、GXへの協力表明を行う必要があります。表明を行っていない事業者が建てたGX志向型住宅は、補助対象になりません。建てる会社の側の登録が、補助の可否を左右します。
新築の基準が上がると、今ある家はどうなるか
ここからが、このコラムでいちばんお伝えしたいことです。
2025年4月から、すべての新築住宅に省エネ基準(断熱等性能等級4・一次エネルギー消費量等級4以上)への適合が義務づけられました。さらに国は、遅くとも2030年までに基準をZEH水準へ引き上げる方針を示しています。補助制度でGX志向型住宅を全世帯対象にしているのも、同じ流れの中にあります。
この基準は2022年3月31日までが断熱等級4が最高等級、半年後の2022年9月30日までが断熱等級5が最高等級、現在は断熱等級7が最高等級です。(GX志向型住宅基準相当は断熱等級6以上)
わずか3年で最高基準が最低基準になったのも事実です。そのぐらい国を挙げて重要に考えている証拠です。
これからの家づくりでは、2030年までのZEH水準の義務化見据えて、より快適で光熱費を抑えられる「断熱等級5以上」この補助制度を使って今の予定している基準よりもう1ランク上の性能を目指すことを推奨いたします。
ただし、この義務は既存住宅にはかかりません。
今お住まいの家にかかっているのは、建てられた当時の基準です。新築の基準が上がることは、既存住宅の性能が上がることではありません。むしろ差は開きます。
これは、いま家を建てる方にも、いまの家に住み続ける方にも関係する話です。
新築を考えている方にとっては、性能が「住み心地」だけの話ではなくなってきた、ということです。光熱費に効き、健康に効き、そしてこれからは資産価値にも関わってきます。基準が上がり続ける以上、建てた時点の性能がそのまま、10年後20年後の家の立ち位置になります。
今の家に住み続ける方にとっては、補助制度は開いた差を埋めるために用意されている、と考えるとわかりやすいと思います。義務がないからこそ、住まい手が判断して上げるしかありません。そして判断を助けるために、国がお金を出しています。
それでも、順番から
3回を通じてお伝えしてきたことを、最後にもう一度書きます。
補助金があるから工事をするのではありません。その家で先にやるべきことを決めてから、使える制度を当てはめる。この順番です。
新築なら、どの類型を目指すかは補助額ではなく、そこで何十年暮らすかで決めてください。リフォームなら、いま何に困っているかで決めてください。「寒い」が困りごとなら窓が先、「給湯器がそろそろ怪しい」なら給湯器が先です。
そして工事の前に、お金のかからない対策があります。入浴の20〜30分前に脱衣所の暖房を入れる、湯温は41度以下で10分まで。ここまでは費用がかかりません。現地を見て、「今年はまだ工事は要りませんね」とお伝えすることもあります。
設備を売る前に、お金のかからない順番からご提案する。これは大工としての決意のようなものです。そのうえで、必要な工事に使える制度があるなら、使わない手はありません。
「段取り八分、仕事二分」と昔の大工さんは言いました。家の仕事は、本当にそうです。新築でもリフォームでも、決めるべき順番を先に決めておく。それが一番効きます。
最初のご相談では、図面がなくても構いません。どこが寒いか、いつ寒いか、どんな暮らしをしたいか。それだけで話が始まります。
一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜
深健工舎/大工工務店2代目・一級建築士
群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市・玉村町・高崎市・渋川市・北群馬郡で対応しています。
根拠のある提案と、誠実な対応をお約束します。
参考資料
・国土交通省|みらいエコ住宅2026事業(公式)
https://mirai-eco2026.mlit.go.jp/
・国土交通省|みらいエコ住宅2026事業(注文住宅の新築)
https://mirai-eco2026.mlit.go.jp/new-house/
・住宅省エネ2026キャンペーン(公式)
https://jutaku-shoene2026.mlit.go.jp/
・国土交通省|省エネ基準引き上げへ。脱炭素化も。
https://www.mlit.go.jp/shoene-jutaku/
※制度内容・予算執行状況は2026年9月23〜24日時点の公式サイトの記載に基づきます。類型ごとに受付期日が異なり、予算上限に達した時点で終了します。最新は必ず公式サイトでご確認ください。


