空き家の発生を抑制するための特例措置
「建物が西に傾いている」と不動産業者に言われた
先日ご相談いただいた案件です。
相続した土地建物の売却をご検討されていたお客様が、ある不動産会社に物件の査定を依頼したところ、「建物が西に傾いているので、解体して更地で売却したほうが良い」と言われたというのです。
土地は約100坪、建物は約50坪、築約20年の木造2階建です。
お客様としてはまだ築20年で、壊すのは勿体ないと思いながらも、建物が傾いていると言われた建物を売って、買われた方から契約不適合責任(瑕疵担保責任)を追及されたら困ると考え、どうしたらよいか迷っているとのお話でした。
遠隔地にお住まいで、相続された際の残置物もたくさん残っている状態でしたので、そのお片付けの見積と実際にどの程度傾いているのか現地で確認するために、鍵をお借りし現地にレーザーレベルを持ち込み調査を行いました。
レーザーレベル調査
レーザーレベルの水平を確認し水平方向と垂直方向のレーザー光を照射し水平方向は一定距離での床とレーザー光の距離を計測し、その差から傾きを計測しました。垂直方向は柱に縦のレーザー光を照射し、柱の傾きを確認しました。
調査結果はほとんど傾き無!
レーザーレベルで調査の結果は、1階で0/1000~0.6/1000、2階で0/1000~1.6/1000の傾きでした。
弊社が中古住宅の売買で付ける既存住宅瑕疵保証保険の建物の傾き審査では、6/1000以上の傾きで保険不適合になります。5/1000までは瑕疵保証保険が付保できます。このことからして、0.6/1000や1.6/1000程度の傾きはほとんど誤差のレベルの傾きです。
依頼者様にそのことを報告し、安心していただき、解体せずに売却する方向となりました。
それにしても、西に傾いていると指摘した業者さんは何を根拠にお客様が不安になるような報告をしたのでしょうか?
震災の影響で雨樋が確かに西に5cmほどズレていましたが、それを見て西に傾いていると言ったのではあるまいし、不思議です。
丁寧な現地調査と査定、説明が改めて重要であると思い知らされる出来事でした。