福島市の住宅地の地価は本当に上昇しているの?
地価公示とは
1969年に施行された地価公示法で「一般の土地の取引価格に対して指標を与え、及び公共の利益となる事業に供する土地に対する適正な補償金の額の算出等」のために「標準地を選定し、その正常な価格を公示する」とされています。
土地価格は、位置や形状、利便性、売買の取引事情など、さまざまな要素によって決まります。また一つとして同じ土地はありません。しかし、市場原理に任せるだけだけだとバブル時代のように土地の価格が乱高下することがあり、それが経済に悪影響を与えたり、公共事業を進める際の妨げにもなりかねません。また公共事業は税金を投入するため、取得価格が高いと税金の無駄遣い、低ければ所有者の財産権の侵害となってしまいます。
そこで国が全国で選定された3万数千地点の「標準地」について、毎年1月1日時点を基準日として各標準地につき2名以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その正常な価格を土地鑑定委員会が判定し、毎年3月下旬に公示価格として公示しているのです。
今年の地価公示は3月19日でしたが
今年は3月19日に官報で公示価格が公示されました。
福島県内44市町村の447の標準地のうち避難指示区域と避難指示解除から間もない地点を除く440地点の公示価格が発表されました。結果は、全用途の平均変動率は0.4%(前年1.0%)で、7年連続の上昇となり、全都道府県第19位(前年第12位)の上昇率となりました。
用途別の県平均変動率は、住宅地が0.4%(前年1.0%)で、7年連続のプラス、商業地は0.5%(前年0.8%)で6年連続のプラス、工業地が0.3%(前年0.9%)で7年連続のプラスとなっています。
この地価公示価格は、1月1日を基準日として鑑定評価を行って判定された価格です。2019年から地価公示検索システムで公示地価を調べると各鑑定士による鑑定評価書も閲覧できるようになりました。標準地福島ー1のある不動産鑑定士の鑑定評価書を見てみると
価格時点(地価公示の基準日)は1月1日、実地調査日は前年の12月5日、鑑定評価日は1月10日、提出日は1月15日となっています。
さて新型コロナの影響は
福島県の地価は、前年比で上昇率こそ鈍化しているが、いまだに上昇していると新聞・テレビ等では報道されいましたが、この鑑定評価書が提出されたのは、新型コロナが中国の武漢で流行しだした頃なのです。不動産鑑定士は取引事例や収益事例等をたくさん収集し分析し取引事例比較法、収益還元法、原価法等を駆使して鑑定評価額を求めているのですが、公示価格を求める作業を行っていたのは新型コロナが出現して間もないころで、世界中に蔓延し経済や社会生活に大きな影響をもたらすことなど想像もできなかったころなのです。
今年の秋には、7月1日が基準日の、都道府県地価調査が発表されますが、地価はどの様に変動しているかとても心配です。