事例Ⅱ 既存の権利で調区の線引き後に建築された建物

佐藤昌徳

佐藤昌徳

テーマ:相続問題、空き家問題

市街化調整区域の土地建物

市街化調整区域とは

市街化調整区域は都市計画法で設定された都市計画区域の一つです。市街化を抑制するために設けられており、無秩序な開発を防ぐことを目的としています。したがって、市街化調整区域内では、原則として建物を建築することができません。

市街化調整区域で建てられる建物は

市街化調整区域での建築は原則として制限されていますが、一部の例外的なケースでは建物の建築が許可されることがあります。

・分家住宅

分家住宅は、市街化調整区域に土地がある場合に、子供に家を建てさせる特例的なケースです。
以下の条件を満たす場合、分家住宅を建てることができます。
・線引きの日以前から継続して市街化調整区域に住んでいること。
・本家の世帯構成員であること。
・本家となる者の3親等以内の血族であること。
・本家となる者が市街化区域に建築可能な土地を所有していないことを証明すること。
・既存集落内の土地であること。

・既存の権利

既存権利は、市街化調整区域内で建築された既存の建物に関連する権利を指します。
例えば、既存宅地制度に基づき建築された住宅や、区域指定型制度に基づき建築された建物、また線引前から所有していた土地に,線引き後開発許可を受けて建物を建てた場合等が該当します。
これらの権利を持つ建物は、特定の条件を満たす場合に建て替えや改築が可能です。

線引前から所有していた土地に線引後建築された建物

・既存の権利で建築された建物

その土地は、昭和43年に売買で取得した土地でした。
市街化調整区域の線引きは昭和45年で線引き前からの宅地です。その土地に線引後の昭和48年に建物を建てて所有者様御夫婦が亡くなるまで住んでいた物件です。
ご夫婦が亡くなりお子さんが無かったので、奥様の妹さんが相続しました。妹さんはその物件に住む予定は無いことから、売却することになりました。

・属人性のある建物

既存の権利で開発許可を受けて建てた建物は、その既存の権利を有していた人のみが、その建物に住むことが可能であり、このことを属人性といいます。分家住宅や農家住宅として建てられた建物も属人性がある建物ということになります。

・用途変更が必要

属人性のある建物を第三者が購入して住む・持ち主が変わる時は、用途変更の許可が必要です。
許可無く売却すると、購入した人は合法的に住むこともできません。
再建築時には、自治体に許可がないまま居住していることが発覚して建築確認の許可が出ないため、建築ができなくなります。

・用途変更の許可基準

用途変更の許可基準は、自治体によってそれぞれ異なりますが、福島県の場合は、建築許可を受けてから10年以上、適法な状態で居住して経過しており、敷地に変更がないこと。また、購入者は、市街化区域内に資産が無いこと等です。

用途変更を申請し無事許可が受けられました

役所に相談し、資料提出し下打ち合わせをしてから約2ヶ月で許可の内諾を得、その後正式に許可申請し、相談から約3か月で既存の権利で建築した建物から、一般住宅への用途変更の許可を得ることが出来、無事決済引渡を行うことが出来ました。

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佐藤昌徳
専門家

佐藤昌徳(不動産業)

株式会社ビーティーアール

不動産鑑定事務所に23年間勤務するなど不動産業に35年以上携わり、様々な物件を見てきた経験が強み。「難しい相談にも誠心誠意対応する」をモットーとする。

佐藤昌徳プロは福島放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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