「甘えさせる」と「甘やかす」は全くの別物。前者は愛着育てに必須。後者はやさしい虐待

高澤信也

高澤信也

テーマ:子育て


こんにちは。高澤です。



さっきYahoo!ニュースで
こんな記事を見つけました。

母に愛されて育った一人息子が“周りから嫌われてしまった”ワケ



概要をざっくり言うと、
「甘えさせる」と「甘やかす」
を勘違いした子育てによって
子どもが負の影響を受けていることを、
ある教育者が親に手紙で知らせる記事でした。



「甘やかしてはダメ!」への誤解

私なんぞは息子大好き人間ですので、
思春期突入したにもかかわらず
ほっぺすりすりやギューをやめられません。



するとときどき
外野から言われるわけですよ。

「甘やかすのは良くないよ!」



相談に来られるお母さん方も
同じことを言われたとよく仰います。



子どもが自由気ままにいると

「あなたが甘やかしているせい!」

と親から責められると。



そう言われるのが嫌だから
甘やかさないように努めている
親御さんは少なくないようです。



でもですね、
実はここに大きな誤解があるんです。



それは
「甘やかす」と「甘えさせる」
は全くの別物であるにもかかわらず、
なぜか同じものとして扱われているんです。




「甘えさせる」とは

子どもは親(特に母親)に
甘えたい生き物です。



*抱っこしてほしい
*ハグしてほしい
*気にかけてほしい
*話を聴いてほしい
*守ってほしい
*気持ちを分かってほしい
etc.



こういったものを
感情的欲求
と言います。



これを満たしてあげることが
子どもの心の育ちにとっては
欠かせない大切なことなのです。



これをたくさんもらえた子どもは

*「自分は愛されている」
*「大切な人とつながっている」
*「世界は安全。守ってもらえる」
*「このままの自分で価値がある」


といった思いを信じることができます。



さらにその思いをベースにして

*自分の思考・感情・行動に責任を持てる
*人の中で調和のとれた生き方ができる

etc.

といったことも可能にします。



これが
甘えさせる
のパワーです。



とても大切です。




「甘やかす」とは

一方で甘やかすとはこんなかかわりです。



●子どもに役割を与えない
●制約が必要な場でも自制させない
●俗物的欲求を何でも満たしてあげる
●子どもがすべきことを親が先回り・肩代わり
●過ちを犯しても叱らない
●「褒める」一辺倒の子育て
●事が何であれ「あなたは悪くない」と被害者化
etc.



この真っただ中にいる
親は「子どもを愛している」、
子は「親から愛されている」
と感じることでしょう。



しかしこの「甘やかし」が
やさしい虐待と言われるには
それなりの理由があります。



こういった育てられた方をした子どもは、
自分は「王子様」「お姫様」みたいに
扱われて当然
と誤認しかねません。



しかしわが家みたいにそんな
特別扱いをしてくれる環境が
あるはずもありませんよね。



その結果、、、

●スタート:本人は常時欲求不満にさらされる

●それが時に身勝手な振る舞いや
攻撃性として表現される

●周りはその人のことが嫌いになって
特別扱いどころか距離を取ったり拒絶したり


スタートに戻ってそのままループ



この悪循環で苦しむのは誰か。



それはほかならぬ
甘やかされた本人
なのです。



まだこの不幸は終わりません。



周りから嫌われ避けられるたびに
「自分はダメ」が強まります。



つまり自己肯定感の低下です。



その結果人と接することが
怖くなっていきます。



つまり対人不安(恐怖)です。



それでもときどき
付き合ってくれる人が現れます。



だけど、距離が近くなるとまた
「王子様・お姫様」気質が顔を出し、
結局また嫌われ、疎ましがられるのです。



さらに不幸なことに、
こういった甘やかしの実害が
目に見えるのはかなり時間が
経った後であることが大半です。



先のYahoo!ニュースの記事では
この仕組みをある教育者の方が
親御さんに知らせていました。



親がこれで気づけたら
実はめちゃくちゃラッキーです。



多くの場合、
わが子が育ち、大人になったとき、
社会の中でうまく生きられない、、、

そんなときにようやく気づくのです。



つまり甘やかしの実害は
かなり時間が経ってから
明らかになるという悲劇。



だからこそ
「やさしい虐待」
などと言われるのです。



先のような人生をわが子が送る姿を
想像してみてください。



あまりにつらくないでしょうか。




「甘やかし」を「甘えさせる」へ

子育てにおける親の仕事は

わが子を社会に送り出すこと

と言われています。



どうせ送り出すなら、
無理や我慢でやり過ごすしかない
状態ではなく、

自分らしさを大切にしつつ、
人とつながっていける、

そんな状態で
送り出したいものです。



そのためにはどうすればいい?



それが
「甘やかし」を「甘えさせる」へ



甘やかしをやめられないあなたへ

「甘やかし」の子育ては
親にとっても蜜の味です。



満たしてあげればあげるほど
子どもは喜んでくれます。

素敵な笑顔を見せてくれます。

親に愛情を振りまいてくれます。



甘やかしをやめるには
ここを乗り越える必要があるため、
決してハードルは低くありません。



でもそこを超えることで
*子どもの自律性と自立心
が育ちます。



それは先々の社会で生きやすさに
つながっていく大切な資源です。



ここを乗り越えるために
親が取り組むべき課題は
次の2つだと捉えています。



①わが子を「甘やかす」目的を見つめること



たいていは目的が
「子どもをよりよく育てる」ではなく、
「子どもから嫌われたくない、好かれたい」

これだと「子どもを満たす」ではなく
「子どもに満たしてもらう」という
親子逆転現象になってしまいます。

自分のことは自分で満たす。
その上で子どもを満たしていく。

これが大切だと強く思っています。



②タフラブを身に着けること



親の愛とは「包む」という
やさしさ重視の母性愛だけではありません。

わが子の成長に必要であれば、
時には厳しい言葉や態度も必要です。

だけど愛するわが子には
つらい思いをさせたくない。
何でも与えてあげたい。

それが母心ですよね。



でも愛するからこそ、

*わが子の先回りや肩代わりしない
*「ダメなものはダメ」と毅然と一線を引く

これをタフラブと呼びます。



褒める一辺倒の子育てがいまだに
もてはやされている現状ですが、
その弊害を受けた方たちのしんどさを
支援の現場でひしひしと感じています。



私は「特別」だったら価値がある。
でも私は「特別ではない」。
だから私には何の価値がない。



これが
「わが家では特別」だったけど、
「社会の中では特別でも何でもない」
彼/彼女らが抱えているしんどさです。



甘やかしは短期的には「親も子もうれしい」。
しかし中長期的には「子どもはしんどくなる」。



甘えさせるは短期的には「親には抵抗感」。
しかし中長期的には「子どもは生きやすい」。



わが家はどっち?



この機会に見直してみるのも
よいかもしれませんね。

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高澤信也
専門家

高澤信也(心理カウンセラー)

カウンセリングオフィス トリフォリ

「私が子どもをダメにしてしまう?」と心配なママ・パパへ 〜 “自分らしく“生きる子に育つ!子育て感情セラピーで親育ち&子育てをサポートしています。

高澤信也プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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