「毒親」という言葉が役に立つとき・立たないとき

高澤信也

高澤信也

テーマ:子育て


「毒親」という言葉

スーザン・フォワードさんの著書
『毒になる親』
が毒親という言葉が広まる契機となりました。

この言葉はかつて流行した
「アダルトチルドレン」
と同じような様相を呈しました。

「うちの親は毒親です」
「私は毒親に育てられました」
「私が生きづらいのは親のせい…」

毒親であれ、
アダルトチルドレンであれ、
本来名前(言葉)はただの道具に過ぎません。

だから言葉も道具と同じで
「どの道具が正しいか?」ではなく、
「その道具を”自分が”どううまく使うか?」
が大切なのです。


たとえば「包丁」。

料理に使えば有用ですが、
傷害に使えば犯罪であり、
人の命をも奪います。

今回は「毒親」という言葉(道具)の
使いみちについてお届けします。

「毒親」という言葉が役にたたないとき

この言葉(道具)が役にたたない状態は
親子のどちらにも存在します。

まずは親側から。

毒親という言葉に直面したとき
「私はそんな親じゃない!」
「ちゃんと子育てしてきた!」
「だから私は悪くない!」
と拒絶反応を起こしてしまう場合。

こうなるとどうしても
防衛的になりがちです。

その結果、
「そんなこという子どもがおかしい!」
「責任転嫁だ!」
「甘えている!」
などという方向に意識が向きかねません。

さらにその思いがわが子に向けば、
待っている結末は親子断絶。

これでは誰も救われません。


次いで子ども側。

「うちの親は毒親だ!」
「悪いのは全部親だ!」
「変わるべきは親の方だ!」

被害者意識に囚われ、
「親が変わるべき」に拘泥してしまうと、
自分の生きづらさを克服することに
取り組まない、もしくはやめてしまう
というケースもままあります。

そのままでは
苦しみが強まることはあっても
決して減ることがありません。

それだけならまだしも、
親への怒り(恨み)は増す一方。

もしそれがそのまま親に向けば、
待っている結末は同じく親子断絶。

ときには刃傷沙汰にいたることすら
あるかもしれません。

これも同じように誰も救われません。

「毒親」という言葉が役にたつとき

これも親子双方に存在します。

まずは親側から。

自分では「良かれ」と思ってしてきた
わが子へのかかわり(子育て)が、
実は子どもを苦しめてきたことを知る。

そのきっかけとして
「毒親」という言葉は有効です。
(但し刺激は強すぎますが)

この痛みを感じて初めて
「私が変わらなきゃ!」
となる親御さんは実は少なくありません。

「私は毒親だったんだ…」
これを受け入れるのは
とてもつらく、痛い瞬間です。

しかしこの痛みが
自分を変えていく原動力になります。

その結果、親自身だけでなく、
その子も助かることでしょう。


次いで子ども側。

自分の生きづらさを
「自分のせい」
「自分が悪い」
「自分がダメだから」
・・・
などと自己責任帰属し、
苦しんできた方にとって
この言葉は救いになります。

自分が根本的にダメな人間で、
どうにもならないと信じてきたけど、
そうではなかったんだと。

環境の影響で誤って
そんなことを思い込んでいただけだと。

「毒親」という言葉(道具)が
そう気づかせてくれるきっかけに
なったのであれば、それは紛れもなく
役に立っていますね。

ここを起点に
「自分が悪いわけじゃなかったんだ!」
「だったら自分をちゃんと助けてあげよう!」

そんな方向に舵を切る起爆剤と言えます。

違いはたったひとつ。それは「主体性」

「毒親」という言葉(道具)が
役に立つとき・立たないとき。

親側であれ子ども側であれ、
その違いはたったひとつです。

それは

・・・

・・・

・・・

主体的か
依存的か。

毒親という言葉を親子双方が
「私は悪くない」
「それなのに私は苦しい」
「だからあなたが変わるべき」
に使っている場合。

主語は「あなた」。
そこにあるものは依存性です。

苦しいのは「自分」なのに、
変わるべきは「他者」だから。

これが主体的になるとこう変わります。

まず親側。
「私がわが子を苦しめてきた」
「だから私が変わらなければ」

次いで子ども側。
「私は悪くなかったけど、苦しいのは自分」
「だから悪くない自分を助けてあげなきゃ」

どちらも主語は「私」。
つまり主体性です。

余談ですが…

私はずっと「毒親」という言葉が
大大大嫌いでした。

しかし、あるクライエントさんから
教えてもらったんです。

「私はこの言葉のお陰で
自分が大元からおかしい人間という
わけじゃなかったと気づけたんです」

「この言葉のお陰で、
ちゃんと自分を助けてあげたいと
生まれて初めて思えたんです」と。

この教えのお陰で、
大切なのは言葉の良し悪しではなく
それをどう使うかといった「使いみち」
なんだと学ぶことができました。

きっと彼女は今も主体的に
自分助けをしながら元気に
生きていると思います。


最後に。
あなたの人生を変えることが
できるのはあなただけです。

もちろん人の手を借りながら。

どうか毒親という言葉に
苦しむことがありませんように。

どうか、その言葉が回復や
成長の助けとなりますように。

それを心から願っています。

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