セルフコンパッションで「子どもを可愛いと思えない」「やさしくできない」「いなくなってほしい」痛みを和らげる

高澤信也

高澤信也

テーマ:子育て


子どもを愛せない苦しみ

「子どもに優しくできない」
「時々『いなくなってほしい』と本気で思うときがある」
「イライラしてつらくあたってしまう」

子育て中のおかあさんがたの中には時折、泣きながらこう訴える方がいます。

これだけでは終わらず、こういった自己非難までくっついていることが少なくありません。

「私はきっとどこかおかしいんです」
「違う人が母親だったらあの子は幸せになれたはず」
「私は母親失格です」

「愛せない」という勘違いを生むもの

ではこういった方たちはほんとうに子どもへの愛情がゼロなんでしょうか?心の底から子どもという存在を嫌悪し、疎ましく感じているのでしょうか?

答えは「ノー!」です。

なぜなら、悩みがあって相談に来られるということは、その裏側には間違いなく
*願い
があるからです。

現状に対して「〜したい」「〜ありたい」といった【願い】もないなら、そもそも人は相談になんて出向くことがないんです。

つまり「愛せない」は実は勘違いなんです。

悩みとは

悩みとは、
「自分が達成したい願望・理想・目標」

「それが満たされていない現状」
のギャップを意味します。

願いがないところには悩みがそもそもないのです。

たとえば今の体重が60kgの人が2人いるとします。
Aさんはそれに悩み、Bさんは悩んでいない。

違いは何か。
Aさんには「50kgになりたい!」という願いがある。
Bさんは「今のままでOK」と感じている。

つまり悩みとは、「現状にどんな問題があるか?」ではなく、「その現状がどうなることを望んでいるか?」という“望み”がそこには必ず存在しているにもかかわらず、それが達成されない(つまりギャップを生じている)状態を指すのです。

したがって先のような悩みを持つ方の話を詳しく聴いていくと、ほとんどの場合、裏にはこんな願いがあるものです。

「子どもにやさしく接したい」
「子どもと仲良く楽しく過ごしたい」
「もっと愛情を注げる親になりたい」

とっても大切な願いではないでしょうか。

それなのにそうできない。どれほど苦しいことでしょう。

子どもを愛する母になる

そのままではわが子だけでなく、自分自身との関係まで苦しいものになってしまいます。なんとかここを脱却していきたいところです。

そこでお勧めしたいことは
★慈悲を与える
という生き方に変えていくこと。

世の中の人々に分け隔てなく慈悲を向けられる人を「慈悲深い人」と呼び、わが子にそれを向けられる母を「慈母」と呼びます。

「慈悲深い人」はさすがに難しいですから、まずは「慈母」を目指したいところですね!



となりそうなところですが、実はそうはなりません。

人は誰しも自分が一番愛おしい

人はみな自分のことを誰よりも大切に思う存在です。たとえ自分を「価値がない」「ダメな人間」と卑下していてもです。

先日ある援助職の方がこう言っていました。
「自分のことはどうでもいいんです。でも人が傷つくのは見ていられません」と。

ではこの方、人から罵られ、不当に扱われ、孤立したとしても平気でしょうか?
その状態で自分の痛みを何も感じることなく、心穏やかに「傷ついた他者」のケアを普段どおりできるでしょうか?

そんなことは不可能ではないでしょうか。深く傷つき、人に慈悲的にかかわる余裕は失われることでしょう。

なぜか。それは、どれだけ「私は他者優先」と信じていても、人はすべからく自分が一番愛おしいから。

サンユッタニカーヤというお釈迦さまが遺された経典にこうあります。

「思いによっていかなる方向におもむいても、自分よりさらに愛おしいものに達することはできない。このように他の人々にとっても自分がとても愛おしい。それゆえに、自己を愛する人は、他人を傷つけてはならぬ」

これは「人は自分が一番愛おしい。それは他人も同じ。だから人を傷つけてはいけませんよ」という教えです。

一番最初に慈悲を向ける相手

したがって、「子どもに優しくできない」「愛せない」といった悩みを抱え、そんな自分を「母親失格」と断罪する人こそ、まず自分に慈悲を与えることが必要ではないでしょうか。

不完全で、不十分で、「周りほどできていない」と感じる自分自身を慈しむのです。それを自己慈悲(セルフコンパッション)と言います。

先日クライエントさんから聞いたのですが、最近はメンタリストのDAIGOさんのお陰で広まっているみたいですね。

セルフコンパッションは
・自分に厳しい(やさしくできない)
・きつくても自分を頑張らせることが多い
・「自分はダメ」「役立たず」などと感じている
・完璧主義
といった自分に手厳しい人にこそ取り組んでほしいと思っています。

セルフコンパッションのポイント

セルフコンパッションでは次の2つが外せません。
①自分の心(神経的な反応、身体的な反応、感情)をなだめてあげること
②自分に慈悲深い声かけをしてあげること

前者の「自分の心を落ち着かせる」ためには、
*身体(筋肉)の緊張を緩めてあげること
が必要です。

そのためには呼吸法と筋弛緩法を日々おこなうことが役に立ちます。特にお勧めしたいのは「ヨガ」です。その両方をいっぺんに満たせますよ。

後者の「自分に慈悲深い声かけ」とは、理想通りではない自分を責めたり卑下したりする代わりに、ねぎらったりいたわったりすることです。

子どもを怒鳴ってしまったとしても、「怒鳴るのはよくなかったけど、でもそれだけ嫌だったんだよね。気持ちは何を感じてもOK。行動だけ見直せばいいよ」と自分に言ってあげる、そんなかかわりです。

最近はセルフコンパッションに関する書籍や動画もたくさん出てきているようです。興味が湧いた方はいろいろリサーチして「自分に合ったもの」を見つけて活用してみてくださいね。

私も長年セルフコンパッションをやっていますが、お陰さまで自分が自分の心強い味方になってくれています。とても助かっています^^

あなたにも「自分が自分の味方になる」日が訪れますように。
その上で、わが子と楽しく過ごせる日々が訪れますように。

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高澤信也
専門家

高澤信也(心理カウンセラー)

カウンセリングオフィス トリフォリ

「私が子どもをダメにしてしまう?」と心配なママ・パパへ 〜 “自分らしく“生きる子に育つ!子育て感情セラピーで親育ち&子育てをサポートしています。

高澤信也プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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