悩み「実の親だけど頼れない」
カウンセリングオフィス トリフォリの高澤信也です。
セルフヘルプに必要なことが手に入るソリューションバンク(解決に役立つ材料が貯まっている銀行みたいな場所)になることを願って、アダルトチルドレンと呼ばれる漠然とした「生きづらさ」に悩んでいる方々の支援を18年ほどおこなってきました。
生きづらさを確認できる質問
突然ですが、4つのフレーズと1つの質問を下に書いています。それに答えることで自分の生きづらさの程度(大変さ)に気づくことができます。
もしそのフレーズを高い確率で信じることができていれば、あなたはすでに生きやすく、「生まれてきてよかった」「幸せ」なんてことも感じているのではないでしょうか。
一方であまり信じられないなら、あなたは「生きづらい」のではないでしょうか。
4つのフレーズと1つの質問
ではここで質問です。
次の4つのフレーズをあなたはどのくらい信じることができていますか?
①「世界は安全。人は信頼できる。私は守られている」
②「ここは私の居場所。深く愛されている」
③「私は掛け替えのない唯一無二の大切な命」
④「私らしさという“力”がこの世界から必要とされている」
信じる度合いが強いなら「私は私であっていい!」といった確信が強い。
信じる度合いが弱いなら「今のままの私ではいけない!」という恐れが強い。
そうなっているのではないでしょうか。
アダルトチルドレンとは
先の4つのフレーズはいずれも
*子どものニーズ
です。
順に
①安全感
②つながり
③自尊感情
④貢献感
という「社会の中で生きていく上で欠かせない」ニーズを示すフレーズです。
ニーズ(NEED)とは「おいしいもの食べたい」「新しい靴を買いたい」のような“欲しい(WANT)”ではなく、それなしでは生きていけない大切なものを指します。WANTがコーヒーだとしたら、NEEDは水です。
子ども時代に大切なニーズが脅かされて育ち、その影響で生き方の中心が「脅威(恐れ)を取り除くこと」と化し、その結果大人になった今「生きづらい」と感じている人々がアダルトチルドレンです。
生きづらさが出来上がる仕組み
アダルトチルドレン当事者が育った子ども時代の環境を機能不全家族あるいは毒親と呼んだりします。先の子どものニーズをほどほどに満たせない環境のことです。
こう書くとすぐに虐待が思い浮かぶかもしれませんが、子どものニーズをほどほどレベルも満たせなかった環境であれば、虐待がなかったとしてもそれはやはり機能不全状態の家庭です。
そこを起点に次のような流れで生きづらさは育っていきます。
○機能不全家族では子どものこころの育ちに欠かせないニーズが脅かされる
(但し家庭に限らない。近しい関係のコミュニティでも起こり得る)
▼
○子どものなかにニーズとは正反対のイメージが強まる
①人から攻撃されるイメージ
②人から嫌悪されるイメージ
③自分が劣等なイメージ
④自分が無力なイメージ
▼
○脅威と化したこういったイメージが繰り返し頭の中で再生されるうちに【あたかも事実】と誤認していく(言わば自分で自分にネガティブな暗示を与えつづける無限自己洗脳状態)
▼
○イメージによって自分の外側と内側の双方から脅かされつづける(「いつも」「きっと」「どうせ」そうなる気がしてしょうがない)
▼
○「脅威(怖い)を取り除きたい」という防衛が生き方の中心に居座る
▼
○常に怖れに付きまとわれる人生=強烈な生きづらさ
アダルトチルドレンとは病名や症状を指す言葉ではありません。漠然とした生きづらさに気づくためのサインみたいなものです。したがって治療や完治といった言葉ではなく、「回復」という言葉を使います。
では回復とは何か。
先の言わば“恐れループ”から脱却して、満たせなかったニーズを自分で満たしていくこと。その先に「生きやすい」という感覚が待っています。
子育てとの関連
子どもが先のような「生きづらい仕組み」をもつのか、それともニーズが満たされて「生きやすい仕組み」をもつのかといったことに家庭という環境は大きく影響します。
人間の子どもは衣食住だけでは育ちません。哺乳類である私たちはそれ以外にも「情緒のつながり」というものが欠かせないのです。これを育てる環境が親子。だからこそ子育てはとても大切なのです。
それなのに親としての訓練を受けて親になる人なんてどこにもいないのが現実です。高校にも大学にも「親になるための課程」なんてありません。ある日突然私たちは親になるのです。
したがって大前提は
★親はみんな子育てがへたくそで当たり前
なのです。
わからないことだらけで当然。できないことだらけで当然。それが自然なんです。
だからこそ私たち親は子育ての何たるかを学んで身につける必要があります。車に乗れるようになるために自動車学校で知識や技術を教わるのと同じことです。
そのためにもまずは「昔は子どもだった」親自身が生きやすくなることが欠かせません。そのあとで子育てを学んで身につける。それが生きづらさといった「負の世代間連鎖」を断ち切ることにつながっていきます。
大切なのは、親も子もどっちも生きやすくなることなのです。