なぜ親が無力さを受容するほどわが子の問題が解決するのか?
子どもの心はどうやって傷つくか
こんにちは。
カウンセリングオフィス トリフォリの高澤です。
今日のテーマは「子どもの心の傷」です。
子どもの心の傷(トラウマ)と聞いて、
真っ先に思い浮かぶものは虐待ではないでしょうか。
①身体的虐待:殴る、蹴る、揺さぶる、物を投げつけるなど
②心理的虐待:罵る、脅す、暴言、人格否定、DVの目撃など
③性的虐待:性交や性的行為の強要、性行為を見せるなど
④ネグレクト(養育放棄):必要な養育や養育を怠る
こういった扱いを受けた子どもたちは、
・自尊心
・人への信頼感
にダメージを受けます。
それがひいては人のなかでの生きにくさにつながっていきます。
虐待によってなぜ子どもが傷つくかというと、
「ひどい扱いを受ける」ことももちろんですが、それ以上に
「してもらいたいことをもらえない」ことで傷つくのです。
子どもの心が「必要」とするもの
前回コラムで述べましたが、子どもの心が健やかに育つには
感情的な応答を始め、さまざまなものが必要です。
それが子どもの「してもらいたいこと」なのです。
たとえば
*怖いことから守ってもらうこと
*家のなかを安全に保ってもらうこと
*ありのままを大切にしてもらうこと
*感情を自由に感じ、表現させてもらうこと
*したいこと・得意なことを応援してもらうこと
*「みんなの幸せ」を妨げる行為は諫めてもらうこと
*「できるようになりたい!」を手伝ってもらうこと
こういったものをもらって初めて子どもの心は
伸びやかに健やかに育っていきます。
見えない喪失
しかし現実には、あからさまな虐待を受けていないにも
かかわらず、自尊心や人への信頼感にダメージを受け、
生きづらくなっている方たちは少なくありません。
たとえばこういった環境で育った子どもたちも、
同じような影響を受けていることは少なくないのです。
・過保護・過干渉
・条件付き関心(親の期待の応えたときだけ承認)
・病気や障害を持つ他のきょうだいにかかりきり
・親が自分のこと(仕事・人間関係・病気など)で手一杯
・きょうだい間の扱いがあからさまに違う(時に差別的)
こういった環境には虐待こそないものの、子どもの情緒が
健全に発達していくうえで欠かせないものが不足している
点では同じとも言えます。
「してもらいたいこと」が途中でなくなれば気づけても、
最初からなければ「無い」ことに気づけません。
この分かりにくい喪失を「見えない喪失」と呼んでいます。
虐待であれ、見えない喪失であれ、子どもがほんとうに
「必要とするもの」が不足している点が同じだからこそ、
受ける影響が似ているのかもしれません。
ではこういったものが残す「影響」とは何でしょうか。
次回はそこに触れていこうと思います。