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組織が崩れるのは「共感できない子」が大人になったから|集団行動力と共感性の弱体化がもたらす社会的弊害
現代の学校や職場で、集団が機能しにくくなっているという声をよく聞く。「指示が通らない」「協調できない」「すぐに衝突が起きる」──。この背景には、“共感性”と“集団行動力”の弱体化という、見えにくい根本問題が存在している。
共感性とは、他人の立場に立ち、感情や意図を読み取る力であり、集団行動力は、その共感をベースに自分の役割を果たす行動調整力のことである。これらは、どちらも脳の「社会的知性(social intelligence)」を支える非認知能力である。そして近年、これらが育っていないまま大人になる若者が急増している。
その一因が、幼少期の“身体を通じた集団遊び”の激減である。たとえば、ボール投げや鬼ごっこのような遊びには、「順番を待つ」「相手の動きを読む」「強く当てすぎない」「負けを受け入れる」など、集団生活に必要な“非言語的やりとり”が詰まっている。こうした体験が、脳の前頭前野や側頭葉、扁桃体の連携を通じて、感情調整・距離感調整・共感力の神経回路を育てる。
しかし現在、都市部では公園の遊びのルールや過保護な環境により、こうした遊びが制限されている。その結果、他者との“間合い”を体感できないまま育った子どもが、大人になっても「空気が読めない」「役割を担えない」「自己主張ばかり」といった形で組織に適応できなくなる。
これは単なる個人の問題ではなく、チームの生産性・学校の学級運営・職場の連携・地域社会のつながりといった、“組織の根幹”を揺るがす構造的課題となっている。
つまり、共感性と集団行動力の弱体化=社会全体の機能低下を意味する。
今こそ、脳と心と人間関係をつなぐ「集団で体を使う遊び」の価値を、教育の最前線に取り戻すべき時なのだ。
【参考資料】
1. 『社会的知性とは何か』
• 著者:ダニエル・ゴールマン(Daniel Goleman)
• 出版社:講談社
• 内容要点:共感力・協調性・感情調整力はすべて“社会脳”と呼ばれる脳の特定領域によって育まれ、幼少期の経験が将来的な人間関係能力・組織力に大きく影響することを説く。
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2. 『非認知能力を育てる』
• 著者:ポール・タフ(Paul Tough)
• 出版社:英治出版
• 内容要点:やり抜く力・共感性・自己制御・チームワークは、家庭内や集団遊びの中で育つことが科学的に実証されており、学校教育の中でも“体験的学び”が不可欠であると述べる。
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3. 『脳を鍛えるには運動しかない!』
• 著者:ジョン・J・レイティ(John J. Ratey)
• 出版社:NHK出版
• 内容要点:身体を動かすことは、前頭前野・扁桃体・海馬の連携を促進し、集中力・感情調整・社会性を飛躍的に高める。特に集団的な運動体験が「協調力」「対人適応」に直結するとされる。
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4. 『子どもの脳を伸ばす運動遊び』
• 著者:久保田 競(脳生理学者・京都大学名誉教授)、久保田 カヨ子
• 出版社:講談社
• 内容要点:投げる・受ける・動きながら判断するなどの遊びを通じて、脳の司令塔=前頭前野が活性化し、社会性・判断力・ルール理解・協調行動が養われると解説。
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5. 『感覚統合で子どもが変わる』
• 著者:藤原 里美(作業療法士)
• 出版社:合同出版
• 内容要点:感覚統合が不十分なまま育つと、対人トラブル・集団行動の困難・感情の不安定さが起きやすい。集団遊びによる“多感覚統合”が、社会的適応の基盤となることを示す。



