婚姻と離婚そして内縁について(相続の基礎知識2)
寄与分制度
寄与分制度も、相続人間の公平を図ることを目的としています。
寄与分のみなし相続財産
共同相続人のなかで、家業に従事するなどしてその事業に協力し、被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をしていながら、これに対する相当の対価を得ていない者を寄与相続人(寄与分権利者)といいます。
この寄与相続人がいる場合に、他の相続人との公平を実現するために、遺産分割に際して他の相続人に優先して、遺産から寄与分を受けることができます。
被相続人の相続開始時の財産から、寄与分を差し引いた残りが相続財産となります。
「相続開始時の財産価額-寄与分=みなし相続財産」
寄与者の相続分
寄与相続人以外の相続人は、この残額を相続財産としてそれぞれの共同相続人の相続分の割合を掛け算して相続分を計算します。
「みなし相続財産×相続分の割合+寄与分=寄与相続人の相続分」
寄与分の計算例
Xが妻・Yと長男Aおよび長女Bを残して死亡した。
Xの相続開始時の財産は5000万円で、Aの寄与分が1000万円と評価された。
Y=(5000万円-1000万円)×1/2=2000万円
A=(5000万円-1000万円)×1/2×1/2=1000万円
1000万円+1000万円(寄与分)=2000万円(寄与相続人の相続分)
B=(5000万円-1000万円)×1/2×1/2=1000万円
寄与分
⑴寄与相続人(寄与分権利者)となれる者
①被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付
②被相続人の療養監護その他の方法
によって被相続人の財産の維持・増加について「特別の寄与」をした者です。
寄与分の利益を受けるのは共同相続人ですから、寄与分の権利は相続人だけに認められます。
内縁の妻や長男の妻が、被相続人の遺産に対して特別な寄与をしたとしても、民法上は寄与分の対象となりません。
⑵寄与分の価額
寄与分を受けるためには、「特別の寄与」をしなければならないので、通常の家事労働や看護などでは寄与分は認められません。
具体的には、長期間見返りもなしに家事・看護を行っていた配偶者に平均賃金相当額によって寄与分を算出したりします。
⑶寄与分を定める手続き
寄与分を定める手続きは、
①共同相続人の協議
②調停
③審判
という3つの方法があります。
共同相続人の協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、家庭裁判所は、寄与分相続人の請求により、
①寄与の時期
②寄与の方法および程度
③相続財産の額
④その他一切の事情
を考慮して、寄与分を定めます。