婚姻と離婚そして内縁について(相続の基礎知識2)
相続とは、人の死亡によって、その人に属していた財産上の地位を、「遺言」または「法律上の規定」に基づいて、特定の者に継承させることです。
そして、上記の「法律上の規定」が、民法第5編相続(882条から1044条)です。
1. 法定相続人の範囲
民法によって、相続人になれる人の範囲とその優先順位が定められています。
法定相続人になれるのは、亡くなった方(被相続人)の配偶者と一定の範囲内の血族です。
一定範囲内の血族とは、子、直系尊属、兄弟姉妹に限られています。
したがって、被相続人の嫁(子の配偶者)は、法定相続人ではありません。
2. 法定相続人の順位
一定の範囲内の血族は、以下の順位に従って相続します。
⑴第1順位・・子
被相続人の子が第1順位の法定相続人です。
①均等相続
子が数人いるときは、同じ順位で等しく分割することになります。
長男であろうと次男・三男であろうと、また男女の間にも差はありません。
結婚して氏や戸籍が別になっていても、子である以上相続権は失われません。
②養子と実子
実子も養子も差はなく、相続分は同じになります。
普通養子は、養親の相続権だけでなく、実親とその親族の相続権も有することになります。
特別養子は、実親との関係は消滅していますので、実親の相続権はありません。
③嫡出子と嫡出でない子(非嫡出子)
以前は、嫡出でない子の相続分は嫡出子の2分の1とされていました。
しかし、この不平等について平成25年9月4日に最高裁判所での違憲判決がなされました。
これを受けて、同年12月に民法が改正され、同年9月5日以降に開始した相続については、嫡出子と嫡出でない子の相続分は同等となりました。
④代襲相続
相続開始の時に、被相続人Aの子Bが死亡していたときは、Bの子CがBの相続分を代わって相続します。
これを代襲相続といいます。
Cも死亡しておりCに子Dがいる場合には、Dが再代襲することになります。
代襲の原因は、上記の死亡のほか相続欠格や相続廃除があります。
⑤胎児の相続能力
相続開始時に胎児であった者は、無事に誕生すれば相続権が認められます。
⑵第2順位・・直系尊属
第1順位の相続人がいないときには、被相続人の父母が相続となります。
被相続人の父母が亡くなっている場合は、祖父母が相続人となります。
⑶第3順位・・兄弟姉妹
第1順位、第2順位の相続人がいないときは、兄弟姉妹が相続人となります。
兄弟姉妹が亡くなっている場合には、兄弟姉妹の子(甥姪)にも代襲相続が認められますが、再代襲は認められていません。
3. 配偶者
配偶者(夫からみた妻、妻からみた夫)は、つねに相続人となります。
第1順位から第3順位の相続人がいるときは、その者と同じ順位です。
相続権が認められる「配偶者」は、婚姻を届出た法律上の夫婦を指します。
共同生活を送っており事実上の夫婦であっても、内縁関係にある者には相続権はありません。